研究課題/領域番号 |
23K23139
|
補助金の研究課題番号 |
22H01871 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
山田 裕介 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30358270)
|
研究分担者 |
天尾 豊 大阪公立大学, 人工光合成研究センター, 教授 (80300961)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 光増感剤 / 水の酸化 / 水の還元 / 水素 / 人工光合成 / 水の光分解 / 電子伝達剤 / 層間移動 / 水の酸化触媒 / 水の還元触媒 / 可視光応答 / 水分解 / 電子リレー / プロトン還元触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに太陽光エネルギーの大半を占める可視光への応答性に優れた分子性の光増感剤を利用することで、水素発生や水の酸化が可能な光触媒系が数多く開発されてきた。しかし、いずれも犠牲試薬が必要であり両者をつなぐことができていない。本研究では、サイズが揃ったシリカナノ粒子集合体の隣接間隙を利用して酸化触媒と還元触媒の複合化を行うことで、これらの光増感剤を用いる水の酸化触媒系と還元触媒系を”どのようにしてつなげばよいか”を明らかとすることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
令和5年度は電子の受授により溶解度が変化する電子伝達剤の開発を行った。その結果、電子を受け取る前の酸化状態にあるときには水のみに可溶であるが、電子を受け取り還元状態になると有機溶媒への溶解度が大幅に上昇する電子伝達剤を見出した。この結果は、H型セルの一方にこの電子伝達剤と水の酸化触媒、光増感剤を入れ、もう片方に水に溶ける水素発生触媒を入れ、これらの上層に水と混ざらない有機溶媒を加えて2つの水系の反応層を有機溶媒で連結することで、水の光分解が達成できることを意味している。 そこで、まず、水の酸化反応系において、今回見出した電子伝達剤が光増感剤から電子を受け取れるか確認を行った。水に、水の酸化触媒、電子伝達剤、光増感剤を溶解または懸濁させた後、有機溶媒を加えて二層反応系を構築した。この反応系に光照射を行ったところ、電子伝達剤が還元状態となり、有機層に移動していく様子が確認できた。 次に、有機層に溶けている電子伝達剤の還元状態が、水層にいる水素発生触媒に電子を渡し、水素発生が可能であるか確認した。先に説明したH型セルの水の酸化触媒の代わりに水溶性の犠牲的還元剤を加え、光照射することで電子伝達剤の還元状態を作り出した。この電子伝達剤がもう片方の水素発生触媒を含む水層に到達してからしばらくすると水素が発生することをガスクロマトグラフで確認した。 現在のところ、水の光酸化反応による電子伝達剤の還元状態の生成速度が遅いため、逐次的な水の光分解にしか成功していないが、今回得られた結果は、反応条件の最適化さえできれば、水の酸化触媒、光増感剤、電子伝達剤、水素発生触媒を組みわせた光触媒反応系の構築が可能であることを示している。可視光に応答する光増感剤には様々な種類があることから、本反応系を利用した高効率な可視光応答型光触媒反応系の構築が期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までは電子伝達が可能な異種の電子伝達剤の組み合わせの検討に時間を要していたが、二層系で利用できる電子伝達剤を見出したことで可視光応答による高効率な水分解を達成できる可能性が大きく開け、遅れを取り戻すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
現在の問題点は、水の酸化の反応速度が遅いこと、電子伝達剤の有機溶媒への分配割合がやや低いことから電化分離の速度が遅くなっていること、有機層にある電子伝達剤の酸化反応層から還元反応層への拡散が遅いこと、である。令和6年度はこれらの問題点を解決しつつ、得られた知見を利用して当初の予定であった固体化を進める。
|