研究課題/領域番号 |
23K23147
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補助金の研究課題番号 |
22H01879 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 史生 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (50462734)
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研究分担者 |
岡橋 伸幸 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (30802748)
清家 泰介 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (80760842)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 代謝工学 / 出芽酵母 / アルコール生産 / エタノール / 代謝シミュレーション / メタボローム / プロテオーム / 代謝フラックス解析 |
研究開始時の研究の概要 |
代謝工学による細胞内代謝経路のファインチューニングに必要な、出芽酵母中心代謝シミュレーターを構築する新手法を開発する。合理的な代謝設計により、バイオアルコール生産出芽酵母のもともと高い比生産速度を極限まで向上させることを目指す。アンサンブル機械学習法を用いて予測力を向上させる。これらを組み合わせたデータ駆動型のアンサンブル機械学習法で、従来法では困難だったバイオアルコール生産速度を予測可能な代謝シミュレーターを開発する。
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研究実績の概要 |
これまでに出芽酵母実験室株と中心代謝酵素1遺伝子破壊株11株(ald6Δ, gnd1Δなど)から多階層データを取得してきた。2022年度は、これを訓練データとして、50反応からなる中心代謝速度論モデルのパラメータの学習を行った。1遺伝子破壊株の酵素タンパク質発現量を実測値に変更して、代謝物濃度と代謝フラックスレベルを予測させ、実測値との残差二乗和を算出した。また、残差二乗和の最小化を評価値として最適に近いモデル計1000個(アンサンブル)からなる出芽酵母代謝シミュレーター Ver 1の構築に成功した。 グルコース取り込み速度が出芽酵母実用株間で異なることに注目した。出芽酵母実用株(協会7号など)を、SD培地中で回分培養し、対数増殖期から不足している細胞内代謝産物濃度データを取得した。S. cerevisiaeの2倍体株(実験室株: BY4947、ワイン株: QA23、パン株: RedStar、清酒株: Kyokai7等)を用いた。SD培地中で回分培養し (50 ml, 30℃)、フィルター法で菌体を回収し、メタノール・クロロホルム・水法で細胞内代謝物を抽出した。フル13C標識抽出物は[U-13C]グルコース含有SD培地で培養したBY27002から得た。LC-MS分析はIon pair LC-MS/MS(LC-8050、島津製作所)とPentafluorophenylpropyl (PFPP) LC-MS/MS(LC-8040、島津製作所)で行った。対数増殖期の細胞内代謝物濃度71種類の測定に成功した。さらに、解糖系の反応やヌクレオチドリン酸の生合成反応を計23反応のDGの算出に成功した。今後はこれらのデータを用いた出芽酵母代謝シミュレーターの構築を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出芽酵母代謝シミュレーターを構築するには、細胞内代謝物濃度を測定し、反応速度論や熱力学に立脚した解析をすることが求められる。液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC-MS) で代謝中間体濃度を網羅的測定に測定する手法の1つとして、[U-13C]グルコース中で培養したS. cerevisiae由来のフル13C標識粗抽出物を、安定同位体標識物として用いる同位体希釈法を拡張した逆ラベル化法がある。そこで、逆ラベル化法の対象化合物を拡張するために、PFPPカラムを用いたLC-MS法の利用を試みた。実験室株 (BY27002) を[U-13C]グルコース含有合成培地で培養し、フル13C標識粗抽出物を得た。これを濃度既知の標準化合物溶液と混合したものを、PFPPカラムを用いたLC-MS分析に供し13C標識物の濃度を算出した。つぎに、非標識グルコース含有合成培地で培養したBY4947由来の粗抽出物に、フル13C標識粗抽出物を添加したものを同様に分析した。その結果、分析を試みた91種類の代謝物のうち71種類の代謝物の濃度を逆ラベル化法で算出することができた。解糖系、ペントースリン酸経路、TCA回路中間体に加え、アミノ酸、核酸関連物質32種の濃度測定に成功した。さらに、本法を用いて出芽酵母株対数増殖期の細胞内代謝物濃度を測定し、解糖系の反応やヌクレオチドリン酸の生合成反応を計23反応のΔGの算出に成功するなと、反応速度論や熱力学に立脚した解析を可能とした。このように、シミュレーター構築に必要な細胞内代謝物濃度を測定できたことから、「(2)おおむね順調に推移している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
課題1 出芽酵母代謝シミュレーター ver 1の構築:2023年度は、構築したシミュレーター ver 1を用いて、出芽酵母実験室株の各代謝酵素の発現量を増減させた時のエタノール生産速度を予測する。実験室株を宿主として、速度向上が大きいと予測された反応の過剰発現株や、発現抑制株を実際に構築し、エタノール生産速度を評価して、シミュレーターの性能検証と、エタノール生産速度3%アップを実現する。 課題2グルコース取り込み速度を予測可能な出芽酵母代謝シミュレーター ver 2の構築:2023年度は、中心代謝速度論モデルを改良し、グルコーストランスポーターをモデルに加味する。2022年度に取得したデータを用い、数理最適化による学習を行う。このときアロステリック制御の有り無しもパラメータとして取り扱い、グルコース取り込み抑制に寄与するアロステリック制御を探索する。 課題3 有用物質生産速度を高精度に予測可能な出芽酵母代謝シミュレーター ver 3の構築:2023年度は、出芽酵母の比増殖速度は、培地条件(合成培地や天然培地)によって大きく影響を受ける。そこで、13C-代謝フラックス解析法を改良し、天然培地でも適用可能とする。異なる培地条件や、培養フェイズにある実験室株(S288C)から、代謝計測データを取得する。
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