研究課題/領域番号 |
23K23150
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補助金の研究課題番号 |
22H01882 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
通阪 栄一 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40363543)
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研究分担者 |
Jiang Fei 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (60734358)
小野 浩重 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (90368704)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 自発的乳化 / 脳内デリバリー / バイオ医薬品 / 噴霧製剤 / 多孔質粒子 / 経鼻投与 / エマルション |
研究開始時の研究の概要 |
近年,脳への薬物送達ルートとして経鼻投与が注目されている。しかし,バイオ医薬品(タンパク質)は,粘膜上皮細胞層がバリアとなり,ほとんど脳へ到達しない。研究代表者の開発した脂溶性ナノ集合体は,タンパク質の粘膜上皮細胞層の透過を劇的に向上させる。そこで本課題では,この集合体を嗅粘膜へ集積することで効率的にタンパク質を脳内デリバリーできる技術の開発を目指す。そのために,嗅粘膜集積性が期待できる固体微粒子をキャリアとして鼻腔内へ噴霧し,嗅粘膜へ輸送,そして嗅粘膜にある粘液との接触で脳への移行に適した脂溶性集合体を含む微細エマルション(S/O/Wエマルション)を速やかに形成するシステムを構築する。
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研究実績の概要 |
本課題では,バイオ医薬品(タンパク質)を脳へ送達させる方法として鼻腔内嗅粘膜からの吸収に注目し,そのデリバリー効率の改善技術の開発を検討した。この薬物デリバリーの障壁となるのが嗅粘膜上皮細胞層である。そこで,粘膜上皮細胞層の透過を向上させる界面活性剤から構成された脂溶性ナノ集合体の利用を検討した。この集合体を鼻腔上部の嗅粘膜へ集積することで効率的にタンパク質を脳内デリバリーできると考え,嗅粘膜集積性が期待できる固体微粒子をキャリアとして鼻腔内へ噴霧し,嗅粘膜へ輸送,そして嗅粘膜にある粘液との接触で脳への移行に適した脂溶性集合体を含む微細エマルションを速やかに形成するシステムの構築を目指した。 まず,粘液で速やか微細エマルションを形成する固体粒子の調製を試みた。粘液での自発的エマルション形成には,親水性高分子から形成した多孔性粒子を利用した。粒子調製に噴霧凍結乾燥を用いることで,鼻腔への噴霧に適した数十μmの多孔質粒子を得ることができた。植物油を多孔性高分子へ封入し,水との接触で微細エマルションを形成する条件を検討した。高分子としては,十分な粒子強度を有し,乳化剤としても作用することが確認されたオイドラギット使用した。この粒子へ添加剤としてマンニトールを混合すると,乳化速度が向上し,エマルション粒子径も大幅に小さくなることが確認された。さらに,植物油へ親水性界面活性剤を混合すると,その効果はより大きくなることも判明した。この見当から得られた微細エマルションへ脂溶性集合体を封入することで,嗅粘膜上皮細胞層からのタンパク質吸収の効率化が期待される。 一方で,固体粒子を嗅粘膜へ集積するための粒子噴霧条件を鼻腔内輸送シミュレーション解析から検討した。粒子径,密度,噴霧速度と角度が粒子の鼻腔内分布に影響することが確認されたため,粒子設計とデバイスの選択へ反映させたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鼻腔内粘液での自発的乳化製剤の開発及びエマルションの微細化技術を確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
脂溶性集合体を内封した自発的乳化製剤による上皮細胞層でのタンパク質透過メカニズムを解明し,製剤の最適化を検討する。また,ヒト鼻腔モデルに製剤を噴霧することで粒子の分布を評価し,この結果とシミュレーション分析結果を比較検証し,鼻腔内輸送シミュレーションを確立する。さらに,マウスの鼻腔内投与によりタンパク質の粘膜透過性を評価知ることで,ヒトへ適応した場合に脳内デリバリーが高効率化できるかを検証する。
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