研究課題/領域番号 |
23K23153
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補助金の研究課題番号 |
22H01885 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野田 修平 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命准教授 (30710131)
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研究分担者 |
白井 智量 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (00639586)
荒木 通啓 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 AI健康・医薬研究センター, 副センター長 (40396867)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 大腸菌 / 遺伝子発現パターン / プラスミド構成要素 / プラットホーム / プラスミドライブラリィ / 機械学習 / 遺伝子発現量解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、望みの化合物を高生産する微生物菌体触媒を迅速に開発するプラットホーム構築する。また、プラスミドの構成要素と目的化合物 の最終生産量の間に広がるブラックボックス 化されたネットワークを解明する。ハイスループットに取得可能な酵素発現量の指標として、緑 色蛍光タンパク質融合酵素発現株のコロニー画像解析を用いる。それを酵素のアミノ酸配列や目的化合物の生産量、中間体の蓄積量などの基本 的な教師データと融合し機械学習を行う。最終的に、3,500通り以上の学習データを基に、目的化合物の最高生産量を叩き出す遺伝子発現パタ ーンを即座に提案可能なテーラーメイド型の遺伝子発現手法最適化システムの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、望みの化合物を高生産する微生物菌体触媒を迅速に開発するプラットホーム構築する。プラスミドの構成要素と目的化合物の最終生産量の間に広がるブラックボックス化されたネットワーク解明のため、プロモーター配列、薬剤耐性、複製開始起点を様々に振った100通りの発現パターンが可能なプラスミドライブラリを整備する。現時点で、実際に目標とした100種類のプラスミドの構築に成功している。 また、フェニル乳酸、フェニルエタノール、マレイン酸といった化合物の生合成遺伝子を例に取り、プラスミドの構成要素と目的化合物の生産性の関連についてのデータを取得した。全体の6割程度の進行ではあるが、目的化合物の生産量と、プロモーター配列、薬剤耐性、複製開始起点、遺伝子導入順、生産量、mRNA発現量、などの相関を解析したところ、遺伝子導入順と生産量について一定の相関性を示すという結果を得た。 今後は、ハイスループットに取得可能な酵素発現量の指標として、緑色蛍光タンパク質融合酵素発現株のコロニー画像解析システムの開発に移行する。画像解析システムで取得した結果と、酵素のアミノ酸配列や目的化合物の生産量、中間体の蓄積量などの基本的な教師データと融合し機械学習を行う。最終的に、3,500通り以上の学習データを基に、目的化合物の最高生産量を叩き出す遺伝子発現パターンを即座に提案可能なテーラーメイド型の遺伝子発現手法最適化システムの開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究提案においては、プラスミドライブラリィの構築及び、そのプラスミドライブラリィを活用したプラスミドごとの物質生産性の評価が重要となる。100通り遺伝子発現パターンを試行可能なプラスミドライブラリィ(プロモーター、複製開始起点、薬剤耐性)の構築に成功しており、その一部を活用することにより、フェニル乳酸、フェニルエタノール、マレイン酸といった様々な芳香族化合物及びその誘導体の生産を評価した。主成分分析により、プロモーター配列、薬剤耐性、複製開始起点、遺伝子導入順、生産量、mRNA発現量、などの相関を解析したところ、遺伝子導入順と生産量について一定の相関性を示すという結果を得た。 また、本研究提案の機械学習への適用可能性を検証するため、模擬データを用いた分類分析試験を行った。具体的には、多次元データにおいて目的化合物とあるパラメータの間に相関がある場合目的化合物の生産性の高さに寄与する特徴量は抽出可能か?の検証を行った。この結果、取得したデータに何らかの傾向がある場合は、分類分析可能であることが示唆された。 以上のことより、本研究提案の実現性が高まったため、概ね順調に進展していると判断するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
現在、GFPを融合した遺伝子発現系の構築を行っており、GFPと蛍光顕微鏡を用いた画像解析技術の開発に着手していく予定である。まず、蛍光タンパク質を融合したタンパク質が実際に機能を維持したまま発現可能であるか否かの調査を行う。その後、まずは相対的に高い蛍光強度を示す株と低い蛍光強度を示す株を用いて、コロニー画像中の蛍光強度の濃淡で生産量の高低を判断可能かの検証を行う。 また、まだプラスミドの構成要素と生産性の関連に関するデータをを取りきれていないものに関しては、引き続き、プラスミドの作製と基盤株における培養試験および物質生産試験、各種パラメーター(プロモーター配列、薬剤耐性、複製開始起点、遺伝子導入順、生産量、mRNA発現量)の測定などを行っていく。 最終的には、遺伝子発現・物質生産・画像データといった表現型に関するデータを目的変数として機械学習を行い、プラスミド構成要素の組合せをもとに表現型の判別・推定ができるモデルを開発を目指す。
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