研究課題/領域番号 |
23K23165
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補助金の研究課題番号 |
22H01897 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
橋本 克之 東北大学, 理学研究科, 助教 (30451511)
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研究分担者 |
柴田 尚和 東北大学, 理学研究科, 教授 (40302385)
平山 祥郎 東北大学, 先端スピントロニクス研究開発センター, 総長特命教授 (20393754)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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キーワード | 走査プローブ顕微鏡 / エニオン / 分数量子ホール効果 / 量子ポイントコンタクト / 核スピン共鳴 / 量子ホール効果 / 抵抗検出核磁気共鳴 |
研究開始時の研究の概要 |
外乱に乱されず強固な量子計算を可能にする特異な性質を持つ、二次元電子系の素励起(エニオン)の研究が世界中で加速している。本研究では、走査プローブ・ナノゲート技術を導入し、エニオンをナノスケールで直接「観る」ことで検証し、精密かつ自在に「制御・操作する」ことでその操作性を明らかにする。本研究は、トポロジカル粒子のナノ空間制御により革新的な誤り耐性量子計算デバイスの基盤技術を確立しようとする世界で最初の試みであり、本研究の遂行は、トポロジカル量子計算の鍵となるエニオン分数統計性の制御・操作、さらにはトポロジカル量子計算デバイスの集積化技術の創出につながるものである。
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研究実績の概要 |
量子ポイントコンタクト中にセンターゲートを取り付け量子ポイントコンタクト内の電子密度を精密に制御することで、強磁場、極低温下の分数量子ホール状態において、半整数量子化伝導の測定を行った。その結果、量子ポイントコンタクト外のランダウ準位充填率nu=2/3において観測されるnu=1/2の量子化伝導が、緩やかなエッジポテンシャルを並走するnu=1/3モードが量子ポイントコンタクト内で平衡化することで生じていると結論付けることができた。さらに、抵抗検出磁気共鳴測定により、量子ポイントコンタクト内の電子スピンが偏極していることを明らかにし、上述の我々の提唱するモデルに矛盾しないことが分かった。これらの成果は、センターゲートを、本課題で使用しているナノプローブゲートに置き換えて量子干渉状態を形成する際に必要となる、量子ポイントコンタクト中のエッジチャンネル状態の知見を提供するものである。 また、走査トンネル顕微鏡探針から高周波電界を照射することで、直径3ナノメートルの単一分子の電子スピン共鳴に成功し、Nano Letters誌で発表を行った。この技術要素は、本課題を遂行するにあたり使用している走査プローブ抵抗検出核磁気共鳴測定に加え、走査プローブ抵抗検出電子スピン共鳴測定に応用することが可能である。 さらに、走査プローブ顕微鏡抵抗検出核磁気共鳴に関するこれまでの結果をまとめ、シュプリンガー・ネイチャーの本「Quantum hybrid electronics and materials」の中で「Microscopic Properties of Quantum Hall Effects」と題して発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
冷凍機の移設やデバイス微細加工装置の不具合で、装置の調節に手間取ったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度問題となった希釈冷凍機の移設後の装置の不具合や、試料を作るための半導体微細加工装置の不具合はすでに解決済みであり、遅れを取り戻すため早急に量子ポイントコンタクトデバイスを作製し走査プローブ測定を開始する。昨年度得られた、量子ポイントコンタクト半整数量子化伝導の結果を受け、ナノプローブゲートにより半整数量子化伝導を再現し、量子干渉の実験につなげる実験を優先して行う。
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