研究課題/領域番号 |
23K23174
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補助金の研究課題番号 |
22H01906 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
亀山 達矢 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40646759)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 量子ドット / 半導体ナノ粒子 / 光エネルギー変換 / 異方形状 / 電位勾配 |
研究開始時の研究の概要 |
サイズが約10nm以下の半導体ナノ粒子(量子ドット)は、量子閉じ込め効果のためにバルクとは異なった物理化学特性を示し、光触媒や太陽電池などの光エネルギー変換材料としての研究が活発に行われている。光エネルギーの高効率な利用のためには、励起子の電荷分離によるキャリアの長寿命化が重要となる。本研究では、分子とバルクの境界領域(数nm)において、電位勾配形成の電荷分離への効果について明らかにするべく、一粒子内に組成の傾斜を形成した量子ドットを作製する。この粒子内に形成される電位勾配とその物性の解明を行い、量子ドットにおける効率的な電荷分離形成の手法を確立する。
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研究実績の概要 |
サイズが約10 nm以下の半導体ナノ粒子(量子ドット)は、量子閉じ込め効果のためにバルクとは異なった物理化学特性を示し、光触媒や太陽電池などの光エネルギー変換材料としての研究が活発に行われている。光エネルギーの高効率な利用のためには、励起子の電荷分離によるキャリアの長寿命化が重要となる。本研究では、分子とバルクの境界領域(数nm)において、電位勾配形成の電荷分離への効果について明らかにするべく、一粒子内に組成の傾斜を形成した量子ドットを作製する。この粒子内に形成される電位勾配とその物性の解明を行い、量子ドットにおける効率的な電荷分離形成の手法を確立する。 コロイド法により合成したZnSe-AgInSe2量子ドットをHAADF-STEM観察したところ、複数あるロッド形状粒子で、両端において明暗のコントラストが見られる事を見出した。この粒子のナノスケールEDS分析から、Znの含有率がロッドの両端において大きく異なることがわかった。光電着法による析出反応を行い、電子構造の可視化を試みた。ロッド端部に集約された電子を使い、金を光還元析出させたところ、ロッド端部にのみ金属が析出することを確認した。また、鉛イオンを含む水溶液中で同様の検討を行ったところ、ロッド末端においてPbSeの析出が確認された。 これらの析出メカニズムについて詳細に検討を行ったところ、光照射によりカチオン交換反応がロッド端部において促進されていることがわかった。また、得られたヘテロ構造体を電極上に担持して光照射を行ったところ、カソード光電流が生じ、さらにナノロッドのみと比較して光電流の外部量子効率が向上することがわかった。これは、電場勾配によりロッド端部に集中したキャリアが、さらにヘテロ接合界面で空間的に分離された効果であることが示唆される結果であり、非常に興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の研究において、当初の予想に反して鉛イオン存在下で、光照射によりPbSeとの半導体ヘテロ接合が形成されることがわかった。このようなヘテロ構造体は光エネルギー変換を高効率化させる可能性があり非常に興味深いため、これに関する検討を追加して行った。これにより当初の予定が後ろ倒しになったが、今年度はこれをカバーし当初の予定に準ずる進捗となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究においてヘテロ接合粒子の形成メカニズムを検討し、これがカチオン交換反応の光照射による促進により起こっていること、さらにはナノロッドのもつ電位勾配が位置選択性を付与していることを確認した。これらの結果は、電位勾配を有する半導体量子ドットのナノ構造制御において、普遍的に利用できる新しい方法を確立することにつながる興味深いものである。さらに、電極上での光照射により、ヘテロ構造をナノ空間に有する粒子の構造が電荷分離に有効であることを確認することができた。また、光触媒などの光反応には反応サイトが重要となるため、反応に対して高効率な助触媒となる新しい金属ナノ粒子の開発も同時に進めており、これらを組み合わせることで、光反応の高効率化に対して、作製してきたナノ粒子の有効性を実験的に検証していく。
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