研究課題/領域番号 |
23K23175
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補助金の研究課題番号 |
22H01907 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 亮 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (50613395)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | ナノシート / 酸窒化物 / 酸フッ化物 / 誘電体 / 原子膜 / 原子層材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,誘電デバイス応用を志向し,未踏領域である酸窒化物・酸フッ化物ナノシートの探索および合成と評価を実施する.光電子分光法を活用し,複合アニオン化およびナノシート化により電子構造がどのように変化するのかを明らかにすることで,巨大誘電率・分極率と優れた絶縁性を有する新規原子膜誘電体の開発を目指す.加えて,第一原理計算による理論的な電子構造解析を行うことで,誘電特性の起源にも迫る.
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研究実績の概要 |
2023年度は、(1)酸窒化チタン、(2)酸窒化ペロブスカイト、(3)酸フッ化ペロブスカイトナノシートの合成と電子構造評価を実施した。(1)酸窒化チタンナノシートはこれまでに、酸化チタンナノシートの前駆体であるレピドクロサイト型チタン酸塩をアンモニア流通下で加熱することで作製した層状酸窒化物の剥離による合成が報告されている。今回、五チタン酸を出発物質として用いることで、従来法の2倍以上の窒素を導入した酸窒化チタンナノシートが得られることを見出した。窒素導入がナノシートの電子構造に与える影響を明らかにするために、紫外光電子分光法および逆光電子分光法を用いた価電子帯および伝導体の状態密度の評価を行い、窒化によるバンドギャップの狭窄化、ドナー準位の形成およびフェルミ準位の上昇を確認した。このように窒素導入が電子構造に与える影響の一端を明らかにした。(2)一般式(Ca1-xSrx)2(Nb1-yTay)3O10-2zN3zで表される酸窒化物ナノシートを合成し、光電子分光によるバンド構造評価を実施した。(3)昨年度に引き続き、酸フッ化物ペロブスカイトナノシート(Ca1-xSrx)(Nb1-yTay)2O6F-の合成を試み、Sr(Nb1-yTay)2O6F-および(Ca1-xSrx)Nb2O6F-の組成では、すべてのx及びyにおいて、厚さが1.5 nm程度の酸フッ化物ペロブスカイトナノシートの合成に成功した。Sr(Nb1-yTay)2O6F-ナノシートコロイド溶液の吸収スペクトルの立ち上がりは、yの増加に伴い低波長側にシフトし、SrTa2O6F-ナノシートでは4.58 eVと、既存のペロブスカイトナノシートの中では最も大きい値を示した。また今年度導入した蛍光分光光度計を利用することで、酸フッ化物ナノシートに特有な発光が発現することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸窒化物ナノシートにおける新しい合成方法の開発や新たな組成の酸窒化物および酸フッ化物ナノシートの合成に成功しており、合成面は順調に進行しているといえる。また蛍光分光測定による評価など、得られたナノシートの多角的な評価に着手し、着実に成果が得られていることや、当初の予定としていた第一原理計算による電子構造解析も開始したことから、評価面においても順調な進展がみられる。よって総合的に順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き合成方法の検討を行う。具体的には、酸窒化チタンナノシートの合成において見出した新規合成法を発展させ、より窒化度の高い酸窒化チタンナノシートの合成および反応メカニズムの解明に取り組む。加えて、電荷補償型元素置換をベースに、新規層状酸窒化物および酸フッ化物の合成と剥離ナノシート化に取り組む。光電子分光による電子構造評価においては、精度を高めるために、製膜方法や測定条件の検討を行っていく。第一原理計算によるナノシートのバンド構造評価は、入力パラメータや混晶系の扱いに一定の知見が蓄積されてきたことを受けて、さらに加速させていく。
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