研究課題/領域番号 |
23K23186
|
補助金の研究課題番号 |
22H01918 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
加藤 健一 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 専任研究員 (90344390)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
|
キーワード | 放射光 / 全散乱 / PDF / 金属ナノ結晶 / 水素吸蔵 / エネルギー分散型検出器 / コンプトン散乱 / SDD / ナノ結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、研究代表者が独自に考案した計測法「全散乱スペクトロスコピー」と解析法「格子変調関数解析法」を格子エンジニアリングの対象となっている合金コアシェルナノ結晶に応用し、材料形態を維持した凝集系で結晶粒内の格子変調をピコスケールで明らかにする。得られる成果を通じて、この新たな計測・解析アプローチをナノ材料科学の分野に定着させ、格子エンジニアリングの本来あるべき形である「格子変調エンジニアリング」を切り開く。
|
研究実績の概要 |
格子エンジニアリングの基盤となるナノ結晶粒内の格子歪み分布をピコスケールで可視化するために、全散乱スペクトロスコピー法を開発している。本年度は、ボトルネックとなっている時間効率を上げるために、最終的にエネルギー分散型検出器が15台搭載できるステージを製作した。そのステージを利用して、前方散乱に昨年度導入したSiドリフト検出器(SDD)、後方散乱に既存のCdTe検出器を設置して実験を行った。CdTe検出器はSDDより量子効率が3-4倍高いため、散乱角に対して急激に減衰するトムソン散乱を捉えやすくなった。一方、CdTe検出器のエネルギー分解能はSDDに対して半分程度に劣るが、コンプトン散乱とトムソン散乱のエネルギー差は散乱角に依存して増加するため、得られたエネルギースペクトルをコンプトンシフトを考慮してフィッティングすることで分離可能であることがわかった。また、CdTe検出器はSDDと比較して電気ノイズや振動に脆弱なことが判明し、取付けユニットを樹脂製にしたり、防振材を挿入したりして対策を施した。さらに角度分解能を犠牲にすることなく測定効率を向上させるため、検出器用のスリットサイズを結晶性や散乱角に応じて最適なものを選択できるようにした。以上のような効率化とノイズ対策を行った計測システムについて、コンプトン散乱の影響が大きい炭素系化合物で評価測定を行った。その結果、現実的な測定時間で後方散乱においてS/N比が最大30倍程度向上し、従来の計測手法では100万カウント以上計数しても観測できなかったブラッグ反射や散漫散乱を捉えることに成功した。以上の開発状況を3年に一度行われる国際結晶学会議で発表したところ、大きな反響を呼んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していなかった検出器のノイズの問題に直面したが、着実に解決しながら進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
水素吸蔵ナノ結晶に全散乱スペクトロスコピー法と格子変調関数法を適用して、結晶粒内部の格子歪み分布をピコスケールで明らかにする。
|