研究課題/領域番号 |
23K23187
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補助金の研究課題番号 |
22H01919 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28040:ナノバイオサイエンス関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
角野 歩 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 助教 (80717140)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 温度感受性チャネル / 高速原子間力顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
TRPV1とTRPM8は、それぞれ生体の温感および冷感センサーとして機能するイオンチャネルで、温度に応答して細胞膜のイオン透過路を開閉することで生体の温度感覚を生み出している。しかし、TRPV1やTRPM8が温度刺激に応答する分子メカニズムは未だ不明点が多い。本研究では、水溶液中の生体分子のナノ構造動態を観できる唯一の顕微鏡である高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)に、超小型のペルチェ素子や赤外線レーザーを用いて温度制御機能を付加し、温感および冷感センサーチャネルが温度に応答する仕組みを、分子の構造動態の観点から解き明かす。
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研究実績の概要 |
温度感受性チャネルであるTRPV1の温度依存的活性化の動態を観察するため、高速原子間力顕微鏡の観察試料を赤外線で急速に加熱できるシステムの構築に取り組んだ。カンチレバーの光てこ用のレーザーに加えて、赤外線のレーザーを同じ対物レンズから照射し、試料を加熱できるようにした。TRPV1の活性化温度と近い相転移温度を有する脂質二分子膜をマイカ基板上に展開し、赤外線加熱によって観察溶液を加熱して脂質膜が相転移する様子を観測した。赤外線の出力を上げると脂質膜の相転移が観測されたが、局所的かつ急峻な加熱は達成できず、参考文献と比較して高い赤外線の出力を必要とした。そのため、脂質膜を相転移させるために必要な赤外線の出力が大きすぎることで、観察溶液の水分が速く蒸発するなどの問題点も生じた。液体の水の吸収スペクトルから観察溶液の温度分布を理論的に考察した結果、現状で用いている赤外線の波長では吸収効率が高すぎて、試料表面に達する前の水の相でほぼすべての赤外線が吸収され、目的の試料表面近傍では赤外線の強度が著しく減衰しているであろうことがわかった。このことが観察試料近傍の過熱効率を下げる原因と考えられるため、今後はチェンバーの水の厚さを薄くするか、赤外線の波長をより吸収効率の低いものに変更する。また、TRPV1のアゴニストおよびアンタゴニストの結合に依存的な構造揺らぎの変化を高速AFMで一分子観測および解析し、論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
赤外線加熱システムの最適化には至っていないが、TRPV1チャネルの活性化温度付近まで観察試料を加熱することに成功したため。また、システムの最適化の問題点が明らかになり、今後の方針が明確化したため。
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今後の研究の推進方策 |
観察チャンバーの水の厚みが局所加熱の問題にならないように、用いる赤外線の波長をより吸収効率の低い波長に変更する。
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