研究課題/領域番号 |
23K23198
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補助金の研究課題番号 |
22H01930 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
友田 基信 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30344485)
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研究分担者 |
松田 理 北海道大学, 工学研究院, 教授 (30239024)
O・B Wright 大阪大学, 大学院工学研究科, 招へい教授 (90281790)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 時間空間媒質 / 力学系メタマテリアル / ウェーブマシン / 非相反 / 時間空間媒 |
研究開始時の研究の概要 |
媒質の物理定数が時間および空間に依存する時間空間媒質を、波動現象が目視可能なアクティブ力学系メタマテリアルで実現する。各格子点のポテンシャルエネルギーを波の動きに合わせて能動的に制御する機構を取り入れることで、有効的な質量・バネ定数・減衰率を時間空間的に変化させることができる。この装置により、時間境界での波の反射、非相反な波の伝搬、増幅、周波数変換、トポロジカル伝導のスイッチングなど特異な波動現象を発現させる。
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研究実績の概要 |
媒質の物理定数が時間および空間に依存する時間空間媒質を、波動現象が目視可能なアクティブ力学系メタマテリアルで実現することを目標に研究に取り組んだ。初年度は、次のことに取り組んだ。 1. 時間境界での波の反射の観測:1次元ウェーブマシンを使い、格子に当たるロッド間の結合強度を波の伝搬に対して十分に速く瞬間的に切り替えることで時間境界を作成し、その境界における反射率を理論式と比較した。さらに、時間境界での反射を抑制する時間的なインピーダンス整合層の条件を計算し、それを実験で実証した。この成果は、学術論文にまとめている最中である。 2. 有効パラメーターを時空間的に変化できるアクティブ1次元メカニカルメタマテリアルの開発:1次元ウェーブマシンを基に永久磁石を各ロッドに取り付け、電磁石によって各ロッドの有効質量を制御する機構を取り入れるシステムの開発を行った。電磁石のOn/Offのデジタル制御によって、1ユニットの周波数を変えることができることを確かめた。 3. 時空間境界による波の反射・透過シミュレーション:空間1次元の連続体の波動方程式において、媒質パラメータの境界が一定速度で動く場合に、波の反射や透過を表すシミュレーションを実装した。 4. 2次元ウェーブマシンの開発:ハニカム格子状の2次元ウェーブマシンを作成し、そのトポロジカルに保護されたバレーホール効果の境界モードを観測する実験とシミュレーションを行った。直線状のジグザク界面においては、バレーホール効果らしき界面に局在する振動伝搬が観測できたが、直線状のベアーデット界面においては界面に局在する振動伝搬は観測できなかった。現在、電子系のグラフェンの理論を参考に、その部分の理由を探っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間空間媒質となる外部制御可能な1次元メタマテリアルの開発については、時間境界による反射現象を観測し、理論と比較することまで達成できた。また、各ロッドに外部から有効的な物理定数を制御できる機構をつけた力学系メタマテリアルについても、開発に着手して、試作を繰り返し課題を克服している段階である。 2次元メタマテリアルの開発については、シャイブウェーブマシンを2次元に拡張した力学系メタマテリアルを開発し、パッシブな現象として力学系バレーホール効果を肉眼で観測することができている。 計画に書いた円環状のウェーブマシンの開発については、人手が足りず着手できていない。3次元の力学系メタマテリアルの開発についてはパッシブな系ではあるが、シミュレーションで振動が局在するモードがでる条件を確かめながら、質量が変化する場合の離散系フォノニック結晶の理論の構築に取り組んでいる。 以上のことから、計画を達成できていない部分や、論文に発表する段階までたどり着けていないことも多いが、一部で想定を超えて進んでいる部分もあり、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
永久磁石を取り付けた1次元ウェーブマシンの各ロッドの動きに対して、それを検知し、マイコンを使ってフィードバック信号を永久磁石に向かい合う電磁石に対して働かせる機構の開発に取り組む。この部分の開発が当研究の鍵となる部分であり、それが実現できると、マイコン制御によって外部から有効的な物理定数を制御できる機構をつけた力学系メタマテリアルが実現できる。その機構が完成するとまず1次元ウェーブマシンに実装し、さらには2次元へと拡張していく予定である。 さらに、古典力学系におけるフォノニック結晶を離散化した質量バネシステムについて、電子系を参考にトポロジカルな局在状態についての理論構築と、それを実証するためのシミュレーションや実験も行っていく予定である。最終的には、このトポロジカルな局在と、アクティブなメタマテリアル制御を組み合わせて、時間依存のトポロジカルな振動状態を力学系メタマテリアルで実現することに繋げていきたい。
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