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スピンホール効果から軌道ホール効果へ

研究課題

研究課題/領域番号 23K23207
補助金の研究課題番号 22H01939 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分29010:応用物性関連
研究機関大阪大学

研究代表者

下澤 雅明  大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (40736162)

研究分担者 井澤 公一  大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (90302637)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
キーワード磁気顕微鏡 / スピン蓄積 / 走査型SQUID顕微鏡 / 熱流誘起スピン蓄積 / スピン流 / 走査型TMR素子顕微鏡 / 軌道ホール効果
研究開始時の研究の概要

スピンホール効果やスピンネルンスト効果などのスピン流に関連する現象が数多く発見されている。電子には、スピン自由度と似て非なる軌道自由度も存在しており、軌道ホール効果などの軌道流を利用した研究も最近発展し始めている。しかし、このスピン流/軌道流に関連する現象は、非常に小さな信号として現れる上に、読み取りが簡便な電気信号に変換する手法もそれを適用できる試料も限られている。本研究では、多種多様な試料に適用できる高感度の磁気顕微鏡を用いることで、スピンホール効果/軌道ホール効果などの起源であるスピン流/軌道流が試料端に蓄積しているかどうかを直接評価できるようにする。

研究実績の概要

本年度は、有機反強磁性絶縁体κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Clで理論予想されている熱流誘起スピン流の実験的検証を行った。具体的には、熱流によって生成された純スピン流が試料端に蓄積(スピン蓄積)することで生じる局所磁化を、前年度までに開発した「電流/熱流印加中でも精密に局所磁気測定が可能な走査型SQUID顕微鏡システム」を用いて測定した。結果として、熱流を40 mWまで印加しても、試料端に有意な磁気信号は現れず、スピン蓄積を局所磁化信号として観測することはできなかった。今回の測定温度がT = 5 Kと比較的低温であったが、ネール温度(T = 22 K)付近で最もスピン蓄積量が大きくなることが理論予想されている。現在、ネール温度を超える30 K程度まで局所磁気測定ができるように改良に取り組んでいる。完了後には、ネール温度を跨ぐ温度領域での測定にも挑戦し、スピン軌道相互作用の小さな有機試料でもスピン流が生成できる可能性を磁気顕微鏡を使って証明したい。
上記の研究以外にも、磁気トロイダル金属HoAgGeにおける非線形横伝導測定を磁場中で行った。その結果、フェリ磁気トロイダル相にはドメインが存在し、電流と磁場を組み合わせることで予想通りコントロールできることが分かった。また、強トロイダル金属UNi4Bの非相反伝導を試料各場所で測定したところ、その信号の符号が測定位置によって変わることが分かった。これは、磁気トロイダルドメインが存在していることを強く示唆した結果である。さらに、磁場を印加してUNi4Bの非相反伝導を測定したところ、高磁場で磁気転移を示すと同時に、非相反伝導がほぼ消失していることが分かった。これらの結果は、磁気トロイダルモーメントによって非相反伝導が出現している強い証拠である。この内容は、既に日本物理学会などで発表しており、現在論文執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上記(研究実績の概要)で報告した通り、前年度構築した「電流/熱流下でも精密に局所磁気測定が可能な走査型SQUID顕微鏡システム」を用いて、有機反強磁性絶縁体で理論予想されている熱流誘起スピン流の実験的検証を行った。残念ながら現状では、スピン蓄積の兆候を捉えることができなかったが、システムを改良してスピン蓄積量が最大となるネール温度付近で再挑戦する予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、30 K程度まで測定できるシステムに改良した後、再度、κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Clで予想されている熱流誘起スピン流の実験的検証をネール温度付近で実施する。また、可能であれば、Geの軌道流やUNi4Bの磁気トロイダルドメインの直接観察にも取り組む。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 重い電子系超伝導物質CeCoIn5における一軸圧力下電気抵抗率測定2024

    • 著者名/発表者名
      石田健太郎,細井優,下澤雅明,井澤公一,宍戸寛明,大貫惇睦
    • 学会等名
      日本物理学会 2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Valley-dependent charge transport under strain in bismuth2023

    • 著者名/発表者名
      細井優、橘風夢、阪口真衣、石田健太郎、下澤雅明、木下雄斗、徳永将史、伏屋雄紀、井澤公一
    • 学会等名
      International Conference on Quantuum Liquid Crystals 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 磁場中における班強磁性体UNi4Bの非相反電気伝導2023

    • 著者名/発表者名
      小路山竜平, 宮本大輝, 市野祐喜, 多田勝哉, 室谷拓海, 細井優, 下澤雅明, 井澤公一, 仲村愛, 本間佳哉, 本多史憲, 青木大
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 非クラマース系PrRh2Cd20の電子状態に対する圧力効果2023

    • 著者名/発表者名
      高尾祥平, 小林寅弘, 野村尚矢, 足立涼, 細井優, 下澤雅明, 井澤公一, 広瀬雄介, 土塔寛, 河野琢馬, 摂待力生
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ビスマスにおけるバレー操作と歪み下電気伝導2023

    • 著者名/発表者名
      細井優, 橘風夢, 阪口真衣, 石田健太郎, 下澤雅明, 木下雄斗, 徳永将史, 伏屋雄紀, 井澤公一
    • 学会等名
      日本物理学会 春季大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] フェリ/反強磁気トロイダル候補金属HoAgGeの磁場中における非線形横伝導率測定2023

    • 著者名/発表者名
      市野祐喜, 宮本大輝, 小路山竜平, 細井優, 下澤雅明, 井澤公一, 八城愛美, 速水賢, 大貫惇睦, 青木大
    • 学会等名
      日本物理学会 春季大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 磁気トロイダルモーメント由来の非線形伝導2023

    • 著者名/発表者名
      下澤雅明
    • 学会等名
      日本物理学会 春季大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 新規トロイダル金属HoAgGeの非線形横伝導率測定2022

    • 著者名/発表者名
      宮本大輝, 高尾祥平, 多田勝哉, 小路山竜平, 細井優, 下澤雅明, 井澤公一, 八城美愛, 速水賢, 大貫惇睦, 青木大
    • 学会等名
      日本物理学会 秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 弾性抵抗の対称性から探る半金属ビスマスにおける歪み応答とその起源2022

    • 著者名/発表者名
      橘風夢, 細井優, 下澤雅明, 井澤公一, 木下雄斗, 徳永将史, 伏屋雄紀
    • 学会等名
      ウラン化合物を中心とする特異な物性の最前線 神戸大学
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] CeRh2As2の磁場に鈍感な非フェルミ液体的挙動2022

    • 著者名/発表者名
      松本碧, 今西優人, 小林祐也, 細井優, 下澤雅明, 仲村愛, 青木大, 井澤公一
    • 学会等名
      ウラン化合物を中心とする特異な物性の最前線 神戸大学
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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