研究課題/領域番号 |
23K23208
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補助金の研究課題番号 |
22H01940 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植村 隆文 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30448097)
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研究分担者 |
脇田 慎一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 招聘研究員 (00358368)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | フレキシブルエレクトロニクス / バイオセンサ / フレキシブルセンサ / 有機トランジスタ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生体の生理活動の結果として体外に分泌されるバイオマーカー(例えば汗・涙・唾液などに含まれるイオンや低分子)の計測を目標とし、ウェアラブル計測において現在課題となっているノイズ除去機構の軽量実装と長時間のセンサ安定性を実現する。具体的には、独自のフレキシブル差動増幅回路による低ノイズ計測技術と、安定性に優れたバイオセンサを開発する。以上により、人の心身状態をより直接的に反映するバイオマーカーの計測を実現し、次世代の予防医療・遠隔医療の発展に資する重要な基盤技術群を創出する。
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研究実績の概要 |
本研究では、生体の生理活動の結果として体外に分泌されるバイオマーカー(例えば汗・涙・唾液などに含まれるイオンや低分子)の計測を目標とし、ウェアラブル計測において現在課題となっているノイズ除去機構の軽量実装と長時間のセンサ安定性を実現する事を目的とした研究開発を実施している。 2022年度は、高いノイズ耐性を有するセンサシステムを実現するために重要な差動型回路システムの設計・試作を実施した。また、イオン感応膜作製と評価において、イオン感応膜の小型化が必要であることが明らかとなった。これにより、センサの小型化に伴う高・出力インピーダンス化が見込まれたため、インピーダンス変換を行うためのボルテージフォロワ回路の設計・試作を行った。これらの回路は申請書に記載の通りにp/n相補型構成の回路としており、今年度の具体的な研究実績としては、p型、n型、両方の有機トランジスタに適応可能なしきい値電圧制御技術を開発し、ACS Applied Electronic Materials(IF:4.494(2021))に報告を行った(掲載済み)。 また、汗中のイオンの検出を念頭にしたバイオ電極構築については、入力電極には特定イオンに対して選択性のあるイオノフォアと可塑剤等を混練したイオン感応膜を開発しており、汗中の各イオン濃度範囲において精度良く応答していることを確認した。また、参照電極にはドライな固体参照電極を中心に検討を進めており、経時変化安定性評価実験においても電位変動の小さな参照電極が実現しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時、2022年度に計画していた「差動型回路システムの設計・試作」「イオン感応膜作製と評価」「高分子膜材料・構造の最適化」の3項目について、計画通りに順調に進捗しており、計画変更は予定していない。差動型回路システムの設計・試作においては、上記にも記載の通り、新たな課題として抽出されたセンサの小型化に対応するための対応を行っている。また、イオン感応膜作製と評価においては、感応膜、または固体参照電極の作製方法を詳細に検討し、電位応答の安定性向上を目指した取組みを順調に進めており、計画通りに研究が進んでいる。同様に、高分子膜材料・構造の最適化については、特に高分子膜構造がバイオ電極電位安定化と再現性のある電位応答を得るために重要であることが明らかになりつつあり、順調に研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は、申請書にも記載の通り「差動型回路とイオン感応膜の統合」と「標準溶液試料による対ノイズ性能評価」を進めていく予定である。デザイン・作製したイオン感応膜と参照電極によって発生する電圧について、その出力インピーダンスを慎重に計測・評価を行いながら、薄膜フレキシブル回路のインピーダンス変換回路の設計にフィードバックを行うことで、耐ノイズ性能を高めていく予定である。その後、差動増幅回路システムとの統合を行うことによって、体動ノイズの除去など、ウェアラブルセンサ特有のノイズ除去も可能なシステムに仕上げていく予定である。一方、イオン感応膜については、参照電極の安定性向上などについても今後更に取組みを進めることによってより一層の性能向上に努める予定である。また、実際の汗計測などの実証実験に向けても、リファレンスデータの獲得方法などについて具体的に計画し、被験者実験での計画を進めていく予定である。
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