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実空間トポロジカル欠陥としての超伝導渦糸を用いる新しいスピン流現象の学理

研究課題

研究課題/領域番号 23K23209
補助金の研究課題番号 22H01941 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分29010:応用物性関連
研究機関岡山大学

研究代表者

安立 裕人  岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (10397903)

研究分担者 加藤 雄介  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20261547)
大江 純一郎  東邦大学, 理学部, 教授 (40510251)
市岡 優典  岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (90304295)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
キーワードスピンホール効果 / 超伝導渦糸 / スピン流
研究開始時の研究の概要

電子の量子力学的自由度であるスピンを用いた電子技術はスピントロニクスと呼ばれ、スピン注入ランダムアクセスメモリ等の次世代電子デバイス開発を支えている。このスピントロニクス研究の新しい流れとして、近年、超伝導技術をスピントロニクスを組み合わせた超伝導スピントロニクスが世界中で大きな注目を集めている。
本研究では、超伝導の量子渦糸が磁束の量子化条件で保護された実空間のトポロジカル欠陥であり、スピンを内包するカプセルとして機能する点に着目する。この超伝導量子渦糸に閉じ込めたスピンが渦糸と連動して動くのか否かを明らかとし、超伝導渦糸を利用した新しいスピン輸送原理を確立する。

研究実績の概要

本研究課題では、超伝導の量子渦糸が磁束の量子化条件で保護された実空間のトポロジカル欠陥であり、スピンを内包するカプセルとして機能する点に着目する。この超伝導量子渦糸に閉じ込めたスピンが渦糸と連動して動くのか否かを理論的に解明し、超伝導渦糸を利用した新しいスピン輸送原理を確立することを目的としている。
我々の先行研究 [T. Taira et al., Phys. Rev. B 103, 134417 (2021)] では、久保公式から超伝導渦糸スピンホール伝導度を計算することによって、超伝導渦糸液体領域(超伝導転移近くでの揺らぎに伴う有限抵抗領域)で逆スピンホール電圧の温度依存性にピーク構造が現れることを示した。その上で、超伝導渦糸スピンホール効果が対応する実験結果 [M. Umeda et al., Appl. Phys. Lett. 112, 232601 (2018)] を説明できると主張した。この久保公式によるアプローチでは、逆スピンホール電圧の温度・磁場依存性を系統的に計算できるというメリットがある一方で、理論計算結果が「渦糸とともに動くスピン流」という物理的描像と対応しているのか否か、具体的に把握しにくいという難点があった。一方、このような(フェルミオン自由度に対する)久保公式と相補的なアプローチとして時間依存ギンツブルグ・ランダウ理論が知られており、超伝導渦糸ネルンスト効果の記述などで威力を発揮している。
そこで、令和5年度は、まずはスピン流が存在する状況での時間依存ギンツブルグ・ランダウ方程式を微視的に導出した。更に、電流存在下のいわゆる渦糸フロー状態のSchmid-Caroli-Maki解を参考にして、スピン流が存在する際の時間依存ギンツブルグ・ランダウ方程式の解を構成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度は、本研究課題の目標の1つであるスピン流の存在下での時間依存ギンツブルグ・ランダウ方程式の微視的導出に成功した。更に、スピン流の存在下での時間依存ギンツブルグ・ランダウ方程式の定常解も構成することができた。これらの成果は、Adachi et al., arXiv:2402.12758 (2024) にまとめられている。以上の成果を勘案すると、当初掲げた目標はおおむねクリアできたと判断できる。

今後の研究の推進方策

令和5年度をもってスピン流の存在下での時間依存ギンツブルグ・ランダウ方程式の微視的導出を完了したため、今後は、導出した時間依存ギンツブルグ・ランダウ方程式の数値シミュレーションに取り組む必要がある。上部臨界磁場近くでの時間依存ギンツブルグ・ランダウ方程式の数値シミュレーション法として、クーパー対波動関数を少数の低次ランダウ準位に射影して計算する方法が知られている。本研究でも、この方向のアプローチを試みる予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Fluctuation contribution to Spin Hall Effect in Superconductors2022

    • 著者名/発表者名
      A. Watanabe, H. Adachi, .Y. Kato
    • 雑誌名

      Phys. Rev. B

      巻: 106 号: 10

    • DOI

      10.1103/physrevb.106.104504

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 超伝導渦糸スピンホール効果の時間依存ギンツブルグ・ランダウ理論2024

    • 著者名/発表者名
      安立裕人, 加藤雄介, 大江純一郎, 市岡優典
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 第二種超伝導体におけるドメインウォールと温度勾配/スピン密度勾配の相互作用2024

    • 著者名/発表者名
      金久保拓真, 安立裕人, 大江純一郎, 市岡優典, 加藤雄介
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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