研究課題/領域番号 |
23K23213
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補助金の研究課題番号 |
22H01945 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
堤 潤也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (30573141)
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研究分担者 |
須丸 公雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (40344436)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | バイオイメージング / 非標識 / 細胞品質評価 / 有機薄膜トランジスタ / バイオセンサー / 変調分光 / 再生医療 |
研究開始時の研究の概要 |
再生医療の発展にともない、何百万個もの幹細胞の中から正常な幹細胞を高スループットに判別する技術が求められている。しかし、生体移植が前提のため、細胞毒性が懸念される標識を用いた従来技術は使えず、再生医療のボトルネックになると言われている。そこで本提案では、非標識かつ高効率に細胞状態を判別可能な、細胞状態イメージング技術の開発に取り組む。研究代表者はこれまでに、物質吸着により半導体表面に誘起された微小な表面電荷を高感度に可視化する独自技術を開発している。本研究では、この技術を発展させ、細胞の状態変化により誘起された表面電荷を可視化する技術を開発することで、非標識の細胞状態イメージングを実現する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、非標識かつ高効率に細胞の状態を判別可能な、細胞状態イメージング技術を開発することである。研究代表者がこれまでに開発した、物質吸着により半導体表面に誘起された微小な表面電荷を高感度に可視化する独自技術を発展させ、細胞吸着のみならず、細胞の状態変化により誘起された表面電荷をも可視化可能にすることで、非標識の細胞状態イメージングを実現する。 前年度は、最もシンプルな細胞の状態変化である細胞死の判別に挑戦し、HeLa細胞が死に至る過程で従来の顕微鏡では不可視の未知のコントラストが広範囲にわたって広がる現象を捉えた。当該現象について、アポトーシス検出試薬や脂質膜染色試薬を用いた検討を行い、細胞死に伴う脂肪滴の漏出を捉えたものであることを明らかにした。令和5年度は、細胞死判別の次のターゲットとして、創薬研究やドラッグデリバリーで重要な指標とされる、細胞単層の物質透過性の可視化に挑戦した。ヒトの体内には、脳血液関門・小腸・皮膚などに、人体に有害なウイルス・細菌を排除し、栄養素のみを選択的に透過させる細胞のバリア機能(タイトジャンクション)が備わっている。このうち、小腸のモデルであるヒト小腸上皮様細胞Caco-2の細胞単層に形成されるタイトジャンクションについて、細胞状態イメージング技術による観察を行って物質透過性の可視化を試みた。その結果、タイトジャンクションの形成過程で物質透過性が低下したことを示す経上皮電気抵抗(TEER)の変化とこれに対応した明確なコントラスト変化を捉えることに成功した。さらに、タイトジャンクションを開く作用のある薬剤としてカプリン酸ナトリウムを投与したところ、タイトジャンクションが局所的に開き、物質透過性が30分ほど上昇したのちに元に戻る様子を捉えることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目にして、本研究の細胞状態イメージング技術のアプリケーションとして、創薬研究の指標とされる物質透過性イメージングが可能なことを実証できたことは非常に有意義である。当該アプリケーションでの掘り下げにより、研究に広がりが出ることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度の成果を掘り下げ、創傷や腫瘍等の不均一性をもつ細胞単層膜のタイトジャンクションの動態を観察する。これにより、創傷の回復過程や腫瘍細胞周辺の生体バリア機能を明らかにし、当該手法の実応用に向けた優位性を示す。
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