研究課題/領域番号 |
23K23214
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補助金の研究課題番号 |
22H01946 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 伸伍 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80732362)
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研究分担者 |
宮寺 哲彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (30443039)
廣芝 伸哉 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40635190)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 有機薄膜成長 / 有機薄膜 / 液晶 / 結晶成長 / 抵抗変化型メモリ / エピタキシー / イオン液晶 |
研究開始時の研究の概要 |
有機薄膜デバイスにおいて、薄膜の結晶性はデバイス性能を左右するが、これまでの真空蒸着プロセスでは、ランダムな核発生と成長に頼った自然まかせの結晶成長のため、基本的には多結晶性薄膜しか得られなかった。本研究では、液晶や柔粘性結晶、非晶などの多様な前駆体相を用いることで、高品質な有機結晶薄膜を作製する技術を開発する。さらに、これまでの研究で見いだされた、スメクチック液晶の2次元液体的な性質を利用した有機超薄膜作製技術や電子デバイスの開発にも取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、基板上での融液・液晶・柔粘性結晶・非晶質など、有機凝集体が示す多様な前駆体状態を積極的に活用することで、高品質有機単結晶薄膜を真空蒸着により作製する技術を開発し、デバイス等へ応用する。本年度の成果は以下のとおりである。 計画1:液晶相を前駆体相として用いた結晶化技術として、高秩序液晶相をもつペリレンジイミド誘導体PTCDI-C8の大型グレイン作製技術を確立した。この大型グレイン表面が分子ステップをもつ平坦な表面であることを利用して、代表的な低分子有機半導体材料CuPcのエピタキシャル成長を実現し、論文発表した。これによって、有機エピタキシャル薄膜によるpn接合が実現した。 計画2:液晶からの結晶化過程において、通常ランダム方位をもって形成する種結晶の形成過程を工夫することで、成長結晶の面内結晶方位を揃える試みを行った。しかし、種結晶の方位を揃えることはできたが、その後の結晶の大型化過程で、ランダムな雑晶が発生する問題が生じたため、現在、雑晶を抑制する方法の確立を試みている。 計画3:基板の一部に蒸着した液晶材料において、未蒸着部分に先行膜が成長する過程を、様々な温度で観察することに成功した。 また、年度初めの計画になかった成果として、イオン液晶の薄膜を用いた抵抗変化型メモリを実現し、論文発表した。イオン液晶の薄膜は、スメクチックA前駆体相からの結晶化を利用して高品質な薄膜を作製し、そのうえで、液晶状態で形成される電気二重層形成を利用して、低電圧駆動を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画1と計画3については当初の予定していた計画を達成した。計画2については、より高品質な結晶性薄膜を作製するためにはまだ改善が必要であるが、雑晶を抑制するいくつかの方法を試み、一定の効果を確認しつつある。また、当初の計画にはなかったデバイス応用の成果も得られていることから、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のような方策で研究を進める予定である。 計画1:高秩序液晶相をもつペリレンジイミド誘導体PTCDI-C8の大型グレイン成長のプロセスとそのメカニズムについて、詳細に調査・検討を行い、明らかにする。 計画2:液晶前駆体相から成長した結晶の方位を揃える研究課題に対しては、現在行っている雑晶を抑制する方法の確立に加えて、新しい種結晶の作製技術の開発も試みる。 計画3:液晶先行膜の成長ダイナミクスに関する研究課題については、成長挙動の温度依存性から速度論的な解析を行い、成長メカニズムを議論する。さらに、異なる液晶材料へも展開する。 計画4:イオン液晶を利用した抵抗変化型メモリについては、より実用的なデバイスを目指して、室温動作可能な材料を選択・検討する。
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