研究課題/領域番号 |
23K23237
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補助金の研究課題番号 |
22H01969 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 高志 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60205557)
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研究分担者 |
五月女 真人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (40783999)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | ペロブスカイト太陽電池 / 半導体光デバイス / ヘテロエピタキシー / 量子井戸 |
研究開始時の研究の概要 |
新しい太陽電池材料として注目されている金属ハライドペロブスカイト型半導体を,様々な高機能光デバイスに利用できる汎用の高性能材料にステップアップさせることを目指して,高品質ヘテロエピタキシー技術を開発し,それを用いて量子井戸構造を作製することを目的とする。従来の有機カチオンを含むハライド置換系ではなく,全無機でBサイト金属を入れ替えたヘテロ構造を採用し,物理気相堆積法によって既存の半導体材料に匹敵する品質のヘテロ構造作製を可能としたい。
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研究実績の概要 |
金属ハライドペロブスカイト型半導体を高機能光デバイス用汎用半導体材料に昇華させることを究極の目標とし,全無機Bサイト置換ハライドペロブスカイトヘテロ構造の作製と評価を目指す研究の基盤を築くために,これまでの成果を基盤として以下の研究項目について検討を行った。 真空蒸着による高品質ヘテロエピタキシーに関しては,ガラス基板上CsSnBr3多結晶薄膜成長において,初めて3温度法による製膜に成功した。これはMBEモードでの製膜の基礎となるもので,重要な進展であると自負している。一方,RHEED(反射低速電子線回折)によるペロブスカイト薄膜の製膜時その場観察は難航しており,電子線照射条件などの最適化に取り組みながら適切な観察条件を模索している。 また,多元蒸着によってCsSnBr3/CsPbBr3多結晶ヘテロ積層構造を作製し,その安定性の確認をおこなったうえで,CsPbBr3/CsSnBr3/CsPbBr3ダブルヘテロ構造積層膜の作製に成功した。最薄20 nmのCsSnBr3井戸層の試料において量子閉じ込め効果による吸収ピークの系統的なブルーシフトが観察された。これは,全ペロブスカイトヘテロ構造では世界初の成果である。 Cs(SnPb)Br3混晶単結晶については,品質的には不十分ながらもある程度の大きさの試料が作製できるようになり,混晶の格子定数と結晶構造,バンドギャップエネルギー,励起子束縛エネルギーの評価がおこなえるようになった。しかしながら,XPSに寄る混晶組成評価には様々な困難が存在することが判明し,現在対策を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RHEED観察の実現に苦戦しており,単結晶ヘテロエピタキシーそのものの研究に大きな進展はないものの,3温度法製膜条件の実現や,ダブルヘテロ構造における量子閉じ込め効果確認など,CsSnBr3/CsPbBr3多結晶ヘテロ積層構造の研究については重要な成果が得られた。混晶単結晶を用いた物性評価も遅れを取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ヘテロエピタキシーについては,RHEEDによるその場表面観察が最優先課題であり,適切な観察条件の探索を継続する。並行して,マイカやSTO基板上の2次元成長実現,ペロブスカイト単結晶基板上における3温度領域での製膜に取り組む予定である。Cs(SnPb)Br3混晶単結晶については,引き続き高品質単結晶の育成に取り組んでその組成評価法を確立し,混晶の格子定数,熱膨張係数,バンドギャップエネルギー,励起子束縛エネルギーの混晶組成依存性の精密評価をおこなうとともに,エピタキシー用基板に用いることのできる大型単結晶の育成のトライする。
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