研究課題/領域番号 |
23K23241
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補助金の研究課題番号 |
22H01973 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
永松 謙太郎 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (40774378)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 高温結晶成長 / 深紫外LED / 窒化物半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、AlN成長の平衡条件に近い成長温度を用いて遠紫外に近い波長領域のLEDの高効率化を行うものである。AlNは6eV程度の非常に大きなバンドギャップを有するが、220 nmのLEDを作製するための高Al組成AlGaNでは成長条件がAlNに準ずるため成長条件が未成熟であり量子構造の形成、伝導性の制御ができず高輝度発光は実現できていない。我々は、これまでに誰も達成していなかった高温領域でAlNおよび高組成AlGaNに最適な成長温度の導出に成功している。本研究では、高温成長の量子構造の形成および電気伝導性制御に対する有効性を確認し、220 nm深紫外LEDの高輝度発光を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究はAlNを含む窒化物半導体の中でもデバイス構造を作製できる限界に近い220nm波長帯でのLEDの高効率化を目的としている。230nm以下の波長帯では表皮での吸収が大きく人体に無害であることが知られているため有人環境下で深紫外LEDの使用が可能でありアプリケーション拡大に貢献できることが期待される。一方でAlNのバンドギャップは6..0eVでありAlN自身で発光層を作製した場合でも210nm程度であることから量子井戸発光層を220nmの波長帯に設定するLEDはAlNモル分率の高いAlGaNを高品質に成長する技術だけでなくデバイス構造を考慮した結晶成長技術の構築が求められる。 高品質なAlGaNの結晶成長技術としては、AlN下地層を低転位に成長することが求められるが、超高温成長が可能な結晶成長装置を開発することで、結晶成長の向上に成功している。そこで研究の技術課題としては、高組成AlGaNで伝導性を得ることとAlGaNにおいて高効率が実現可能な発光層を実現することである。 本年度はAlNの高温成長およびAlGaNの成長においてデバイスにつながる技術の発表としてInternational Workshop on Nitride semiconductor 2022にて4件の発表(口頭1件、ポスター3件)、第70回応用物理学会春季学術講演会にて口頭発表1件、ナノエピ国内会議において招待講演1件、IS Plasma国際会議において招待講演1件を発表した。また、原著論文としてScientific Reports, 13, 3308.1-7, 2023.およびScientific Reports, 13, 2438. 1-7, 2023.が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での初年度、高温で成長したAlNにおいてLEDデバイスでの優位性を確認すること、AlN/AlGaNの量子井戸作製技術を確立することAlNにおいて残留不純物を低減、ドーピングを行うことを目標とした。 LEDデバイスについては、コラボレーションしている機関とともに220nmではないが深紫外波長領域において、良好な結果を確認した。また、高温成長AlNが深紫外LEDに有効であることを見出した。また、AlN/AlGaNの量子井戸作製においては高組成AlGaN/AlN超格子の作製において新たな知見を得ることに成功した。さらにAlNにおいて1500℃の温度帯で残留不純物を低減できることを明らかにした。 対外的な発表に関しても、原著論文2件、国際会議4件、招待講演2件の実績を挙げている。 以上のように、LEDデバイスでの評価の実施、AlN/AlGaN量子井戸の作製、不純物濃度の低減について成果を挙げることに成功し、次年度の研究計画につながる研究進捗を得られたため「概ね順調に進捗している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後LEDとしての検討および特性改善が求められるようになる。LEDの効率改善の方法としては、デバイスの成長層を本質的に改善することが求められ本研究においても中核としているが、デバイス構造にも強く依存することが考えられる。そこで2年目となる次年度は、デバイスシミュレーションを導入し、デバイス構造の改善を並行して行う。構造の最適化および構造による傾向を理解することによって成長層の本質的改善を明らかにすることを目的として実験を進める。 具体的な検討手法としては、電気伝導の実現に対しては、実際にドーピングを行い、電気伝導の可能性について検討を行う。ドーピングに関しては二重希釈ラインを用いることで広い条件範囲で実験を実施できるように工夫する。低キャリア濃度となることが予想されるため、高電圧が印加できる測定やCV測定を行うことで定量的な評価を行う。また、高AlNモル分率AlGaN発光層においても高い効率を実現するためGaの局在を意識した発光層の実現を目指す。
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