研究課題/領域番号 |
23K23248
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補助金の研究課題番号 |
22H01980 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
宮本 克彦 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20375158)
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研究分担者 |
大野 誠吾 東北大学, 理学研究科, 助教 (70435634)
三成 剛生 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, グループリーダー (90443035)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | テラヘルツ / 軌道角運動量 / 光渦 / 円偏光 / 差周波発生 / メタ表面 / クロスニコル / 分光 |
研究開始時の研究の概要 |
テラヘルツ領域における軌道角運動量を自由度とした新たなテラヘルツ分光法の確立を目指す。物質中のフォノンと強く相互作用するテラヘルツ領域において,軌道角運動量分光は新奇物性の顕在化が期待できる。本研究では,非線形光学に立脚した周波数可変テラヘルツ光渦光源を基軸に,テラヘルツ波回折光学素子,モデルサンプルを設計製作し,軌道角運動量二色性分光システムの開発を行う。
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研究実績の概要 |
テラヘルツ領域において,軌道角運動量を主成分とする新奇テラヘルツ分光法の確立を,本研究では目的としている。 研究計画2年目である2023年度は,昨年度に引き続き,光源の基盤技術確立に注力した。従来の螺旋型位相板などによる波面変調を用いたテラヘルツ光渦発生は,最も簡便な手法の一つである。ここで,螺旋型位相板は特定の周波数に対して設計されていることから,他の周波数では軌道角運動量の次数を保つことができずに使用できない。しかし,差周波発生法に基づく単色テラヘルツ発生を利用することで,この課題を一掃できる。これまでに,本手法を用いて軌道角運動量の次数1のテラヘルツ光渦の発生を行ってきた。本年度は,次数制御を目的に,次数2以上の高次の軌道角運動量を有するテラヘルツ光渦の発生を試みた。その結果,次数2のテラヘルツ光渦発生を周波数3 - 6 THzにおいて実現できた。高次次数の軌道角運動量を保ったまま,さらに周波数可変に発生できるテラヘルツ光渦光源は類例がなく,軌道角運動量分光への展開が大きく期待される。別途,広帯域円偏光発生のための準備も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
螺旋型位相板や空間位相変調器など,光渦発生のための光学素子は充実している。しかし,これらの素子では軌道角運動量を保ったまま周波数を同調することが難しく,軌道角運動量分光は実現できない。本研究では,任意の周波数で軌道角運動量が変調できるテラヘルツ光渦光源を,非線形波長変換技術を用いて開発する。具体的な手法としては,位相・強度変調が容易な近赤外域で光渦を発生させて,近赤外域のガウスビームとの差周波光発生を行う。軌道角運動量保存則に従い,光渦の軌道角運動量がテラヘルツ波に転写されるため,テラヘルツ光渦が周波数可変で発生できる。テラヘルツ波発生用の有機非線形光学結晶にはDASTを用いており,本年度は周波数3 - 6 THzにおいて次数±2のテラヘルツ光渦の発生に成功した。一方,軌道角運動量二色性分光との対比として重要な円偏光二色性分光のための光源開発も同時に行った。 研究期間2年目として,光源側の基盤技術の開発が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
テラヘルツ光渦の発生,円偏光の発生が任意の周波数において可能となり,光源側のインフラが順調に整備できつつあることから,次年度以降は,軌道角運動量分光・円偏光二色性分光への展開を図る予定である。そのためには,光源側のさらなる整備と,モデルサンプルの設計試作が重要となる。昨年度の段階において,すでにプリンテッドエレクトロニクス技術を用いて金属三角格子を印刷し,回転モアレ型メタ表面の作製を行っている。予備的な実験においては分光へと展開する際にSN比が大きな壁となることが予想されている。そのため,光源の高出力化,検出系の改善,モデルサンプルの再設計・試作が必須となる。具体的に,光源側としては励起光源の空間重なり積分の改善,検出系としては高感度検出器の利用,モデルサンプルについては基板の薄膜化などについて検討を行う予定である。シミュレーション結果においては,用いるモデルサンプルにおいて立体的な構造キラリティーが2種類存在することが見出されており,構築予定の分光装置を用いてこれらの判別に注力する予定である。
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