研究課題/領域番号 |
23K23258
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補助金の研究課題番号 |
22H01990 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 (2024) 京都大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
田原 弘量 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20765276)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | ナノ構造半導体 / 光物性 / 量子干渉 / 超解像 |
研究開始時の研究の概要 |
集団のナノ構造半導体を結合させることで、ナノ構造体の間で量子力学的な協力効果が現れる。この量子協力効果は発光や電気信号を強める重要な効果である。しかし、ナノ構造体間の相互作用には多数の要因が複雑に影響するため、協力効果を強めるには何が必要なのか微視的なメカニズムが解明されていない。本研究では、集団のナノ構造半導体における量子協力効果の形成過程を解明するために、時間的・空間的に高い分解能を有した新しい超解像レーザー分光法を開発する。電子状態の過渡的な位相変化(コヒーレント応答)を計測することで、ナノ構造体間の相互作用と量子協力効果の形成過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
電子コヒーレンスを利用した新しい分光法を開発し、集団量子システムにおける協奏的な量子光機能の発現メカニズムを解明することが本研究の目的である。ナノ構造半導体を精密に配列して結合させた超構造体では、ナノ粒子間の量子協同過程によって集団として位相のそろった状態が生み出されるため、光信号や電気信号が強まると期待される。本研究ではコヒーレンス形成過程を可視化し、光放出やキャリア生成における集団ナノ構造体の量子協同過程の全貌を解明する。本年度は、ナノ粒子結合膜における量子光電機能の計測を行った。コロイド半導体ナノ粒子は溶液中で凝集することを防ぐために、リガンド分子で覆われた構造を有している。ナノ粒子の結合膜を作製するには、このリガンド分子を短鎖分子で置換して、ナノ粒子同士を近接させることが必要になる。そこで、長さの異なるアルカンジチオールによってナノ粒子間距離を変えた試料を作製し、光電流量子干渉分光を行った。開発したこの手法では、位相を制御した光パルスによって光生成したエキシトン系の干渉パターンを計測することで、高次の非線形応答を精密にとらえることができる。リガンド分子の長さを変えながら光電流の干渉信号を計測することで、分子の長さが短くなるにつれて非線形な光電流信号が増大することを観測した。励起強度に対する依存性を計測することで、隣接するナノ粒子が協同的に応答することで信号の増大現象が生じていることを明らかにした。さらに、ナノ粒子薄膜における超高速光電流応答の計測を行った。エキシトンによる光電流に加えて、より速い応答としてトリオンに起因した光電流を計測することに成功した。トリオンによる光電流は印加電場に応じて強くなるため、多電子状態を利用した超高速光電制御につながる重要な現象を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
集団量子系における量子協同過程の解明を目指して、新しい分光法の開発と集団ナノ粒子結合系の作製を進めている。光電流量子干渉分光システムを構築することで、光励起によってナノ粒子結合系に生じる光電流信号を計測した。ナノ粒子間距離を制御することで非線形光電流が増大することを観測し、ナノ粒子間の量子協力過程によって光電流信号が強められるメカニズムを明らかにした。また、顕微分光のシステムを構築し、単一のナノ粒子超構造体からの発光スペクトルを測定することに成功している。これらの集団ナノ構造体が引き起こす光量子機能として発光増強や光電流増幅を観測し、その発現メカニズムの解明に向けて研究を進めており、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
光励起した集団ナノ粒子で生じる電子状態間のコヒーレントな協同過程を計測するために、分光システムの開発を進める。これまでの研究によって、レーザーパルス光の位相制御を利用した光電流量子干渉分光法を開発し、結合ナノ粒子薄膜の光電流計測と高次の量子コヒーレンスの計測に成功した。次年度は、集団ナノ粒子の協奏的光機能として集団発光増強メカニズムの解明を目指す。顕微分光システムの開発を進め、ナノ粒子超構造体の顕微発光計測と高分解能サイズ識別を組み合わせたシステムを構築する。
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