研究課題/領域番号 |
23K23259
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補助金の研究課題番号 |
22H01991 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北村 恭子 東北大学, 工学研究科, 教授 (40635398)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 歪フォトニック結晶 / 光操舵 / 光軌跡の可視化 |
研究開始時の研究の概要 |
「歪(ひずみ)フォトニック結晶」は、格子点が光の波長程度の周期で規則正しく配列されたフォトニック結晶において、その各格子点の位置や形状を周期配列から緩やかに変位・変形させた、格子歪を有する構造である。格子歪により、平均屈折率が一定の条件下でも光の軌跡を曲げることができる。これは、微分幾何学により、格子歪が光にとっての歪んだ空間を形成し、重力効果を与えると理解できる。本研究は、このような歪フォトニック結晶における重力効果を用いた光操舵を理論・実験により明らかにすることを目的とする研究である。
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研究実績の概要 |
「歪(ひずみ)フォトニック結晶(DPC)」は、格子点が光の波長程度の周期で規則正しく配列されたフォトニック結晶(PC)において、その各格子点の位置や形状を周期配列から緩やかに変位・変形させた、格子歪を有する構造である。格子歪により、平均屈折率が一定の条件下でも光の軌跡を曲げることができる。これは、微分幾何学により、格子歪が光にとっての歪んだ空間を形成し、重力効果を与えると理解できる。 本研究は、DPCにおける重力効果を用いた光操舵を理論・実験により明らかにすることを目的としている。 2023年度は、DPC中の光伝搬の軌跡を実験的に可視化するため、Si DPCスラブの作製を行い、DPC表面のエバネッセント成分を量子ドットによる発光から検出する系を構築した。その結果、散乱の影響が比較的大きく出ると考えられるSi/DPC境界での発光は観測されたが、DPC内部を伝搬する光の検出に至らなかったため、Si DPCスラブへの結合効率に課題があることが明らかとなった。 また円筒対称なDPC構造について2次元電磁界シミュレーションにより検討を行い、これまでの倍程度の偏向角を有する光軌道が得られることを明らかにした。また、理論的に重力効果として記述可能な低周波数領域では、歪フォトニック結晶の分散関係はライトラインの下にあるため、Si DPCスラブ内に閉じこもるモードである。そこで、ライトラインの上に位置する高周波数での光軌道についての検討も行った。その結果、理論的に明示的な重力効果の記述は不可能な領域ではあるが、重力効果に類似した効果が得られていると考えられる光軌跡が得られ、かつ、大きく湾曲する軌道が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては、DPC中の光伝搬の軌跡を実験的に可視化することに特に注力している。2022年度に世界情勢の影響により遅延した可視化実験であるが、2023年度は、ようやくSi DPCスラブを作製するに至り、また量子ドットを塗布して実験系に導入するに至った。実験については、結合効率の改善を含めて、引き続き試行錯誤を行っている。 一方で、電磁界シミュレーションによる光操舵に関する知見は、特にDPCを高周波数領域に展開することでこれまでに得られなかった大きな光湾曲軌道が得られることが明らかになるなど大きな進展があった。 以上のことから、全体としては「おおむね順調に進展している」と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
実験における課題は、Si DPCスラブへのレーザー光の結合に試行錯誤を繰り返しており、未だ所望の光結合を得られておらず結果として、光軌跡を可視化するに至っていないことにあると考えている。結合効率を上げるための治具やレンズドファイバーなどの導入などの実験系の工夫により課題を解決することを予定している。 高周波数領域でのDPCでの光伝搬については、大きな湾曲が見られたことから引き続き構造設計を行い、一方向性を持った周回軌道等の形成ができないかについても検討する。
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