研究課題/領域番号 |
23K23275
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補助金の研究課題番号 |
22H02007 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
余語 覚文 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (50421441)
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研究分担者 |
早川 岳人 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 光量子ビーム科学研究部, 上席研究員 (70343944)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | レーザー中性子源 / レーザーイオン加速 / 中性子共鳴吸収分析 / レーザー駆動中性子源 |
研究開始時の研究の概要 |
レーザープラズマから数十MeVの陽子等を加速してベリリウム等に照射し2次反応を起こすことで「レーザー中性子源」が可能となっている。本研究では、より高効率な中性子発生機構の追求と、生成した中性子による分析技術の開発を行う。そのため、代表者等が発見した中性子発生数に関するスケーリング則を適用しつつ、冷却装置による固体重水素薄膜を開発して高効率に重水素を加速することで、中性子発生数を増大させる。また、短パルス性を大きく損なわない減速体系を構築して、短パルスの熱・熱外中性子源を構築し、中性子共鳴吸収分析などの計測がレーザー1ショットで完了する「シングルショット中性子分析」を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、レーザー中性子源の実用化のために、より高効率な中性子発生機構の追求と生成した中性子による分析技術の開発を行う。そのため、代表者等が発見したスケーリング則を適用しつつ冷却装置による固体重水素薄膜を用いることでレーザーエネルギーから重水素加速エネルギーへの変換効率を上げる。また、短パルス性を大きく損なわない減速体系を構築する。2m 以下の距離に検出器を設置し中性子飛行時間計測法でエネルギーを計測しつつ検出域の前にサンプルを配置することで、シングルショット中性子共鳴吸収分析法の開発を行う。 クライオ冷却による固体重水素薄膜生成装置の開発は順調に推移しており、セルフサポートの重水素薄膜(厚さ100μm)を生成して、真空中で数時間保持する試験に成功した。2023年度には大型レーザー装置LFEXのマシンタイムに採択されており、重陽子加速試験を実施する計画である。 また、シングルショット中性子分析の実証研究においては、従来の固体重水素添加プラスチック薄膜を用いてレーザー駆動中性子実験を実施した。中性子共鳴吸収分析を実施し、サンプルの昇温に伴って共鳴吸収ピークの半値幅が増大する結果を、シングルショット計測することに成功した。従来の加速器中性子を用いた研究例では、10m級のビームラインで時間積算計測が行われていたが、本研究では、1.8mの距離で、レーザー1ショットで計測する点が特徴である。現状では測定ノイズ等に起因するばらつきが大きいため、計測器及び遮蔽の配置の最適化によって改善を目指す。将来的には、元素を選別して瞬間の温度を透過計測できる技術につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
レーザー駆動中性子に関するスケーリング則の実証、およびシングルショット共鳴吸収分析の成果が、Physical Review X誌に掲載[A. Yogo et al., PHYSICAL REVIEW X 13, 011011 (2023)]された。プレス掲載:国内6件(科学新聞、電気新聞等)海外3件。 また、共鳴吸収ピークの温度依存性に関する成果を、国内学会(原子力学会、レーザー学会、日本物理学会)において報告し、発表者である博士後期課程学生(Zechen Lan)が、2023年春季大会 日本物理学会学生優秀発表賞を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
クライオ冷却による固体重水素薄膜生成装置を用いてセルフサポートの重水素薄膜(厚さ100μm)を生成し、ここに高強度レーザーを集光することで、重陽子加速の高効率化を実験的に検証する。大型レーザー装置LFEXのマシンタイムに採択されており、2週間の実験が計画されている。 シングルショット中性子分析の実証研究においては、引き続き固体重水素添加プラスチック薄膜を用いてレーザー駆動中性子実験を実施する。大型レーザー装置LFEXのマシンタイムに採択されており、2週間の実験が計画されている。共鳴吸収ピークの温度依存性をより精度よく計測するために、遮蔽体と計測器配置の最適化を実施する。実験真空槽や周辺計測器を含めた包括的なシミュレーションを行い、中性子ビームラインを再設計する。
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