研究課題/領域番号 |
23K23276
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補助金の研究課題番号 |
22H02008 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡辺 賢一 九州大学, 工学研究院, 教授 (30324461)
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研究分担者 |
野上 光博 東北大学, 工学研究科, 助手 (10847304)
人見 啓太朗 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60382660)
吉野 正人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10397466)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | TlBr検出器 / 波長分解中性子イメージング / キャリア移動度 / 時間分解中性子イメージング / 第一原理計算 |
研究開始時の研究の概要 |
HPGe検出器に代わり常温で動作可能なガンマ線スペクトロメータとして期待されているTlBr半導体検出器におけるキャリア輸送機構に関する新機軸を構築する。結晶性とキャリア輸送特性の関連性を明らかにし、TlBr検出器製作プロセスを見直し、積極的に歪みを制御することで、検出器製作の歩留まりが飛躍的に向上されることが期待される。具体的には、波長分解中性子イメージング法のひとつで、中性子回折によりバルクサンプル中の結晶情報の可視化が可能な中性子ブラッグディップ(BD)イメージングを活用し、結晶歪みとキャリア輸送特性の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
当該年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1)中性子BDイメージング法、EBSDおよび偏光イメージングによる歪み評価:前年度の検討により、結晶は育成方向に沿って成長していき、育成方向に垂直、かつ数mm程度の厚みに結晶を切り出した場合は、切り出し面表面の結晶方位はサンプル厚さ内の結晶方位を概ね反映しているという知見を得ているため、本年度はEBSDによる結晶方位分布計測実施した。φ18×3mmのTlBrウェハーについて、EBSD測定を行い、キャリア輸送特性との比較を行った。 2)歪み制御された部位の選択および検出器の製作:育成した結晶を、EBSDにて方位分布を計測した上で、キャリア輸送特性評価のために、電極形成、ワイヤ接続により検出器とした。 3)キャリア輸送特性の評価:前年度に整備したレーザー誘起キャリア飛行時間(TOF)測定システムを用いてサンプル内の電子の移動度二次元分布を評価した。1)で実施したEBSDによる測定結果と比較した結果、結晶粒界と移動度の分布に相関がみられる部分も確認された。結晶方位、結晶性と移動度の関連性を調べるための基礎データを取得可能な環境が整備された。また、μτ積については、条件を吟味しないと評価が困難であることが見いだされた。次年度以降、測定条件等を見直し、μτ積についても評価することを試みる予定である。 4)第一原理計算によるバンド構造評価:試験的にTlBrに関する第一原理計算を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の実施項目に関して、1)中性子BDイメージング法、EBSDおよび偏光イメージングによる歪み評価については、キャリ輸送特性用のサンプル評価が実施可能であることが確認され順調に進展している。また、2)歪み制御された部位の選択および検出器の製作 、3)キャリア輸送特性の評価、4)第一原理計算によるバンド構造評価についても、各種確認が進められて想定通りの進展状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策は以下の通りである。 1)中性子BDイメージング法、EBSDおよび偏光イメージングによる歪み評価:これまでの結晶方位の評価に留まらず、方位の一様性等の結晶性に関するパラメータの抽出を試み、キャリア輸送特性との比較を進める。 2)歪み制御された部位の選択および検出器の製作:EBSDで評価されたサンプルで検出器を製作し、その性能評価を進め、各々の関連性について検討する。 3)キャリア輸送特性の評価:製作した検出器のキャリア輸送特性を評価し、歪み等との関連性を調べる。 4)第一原理計算によるバンド構造評価:計算で得られた結果について、実測結果との対応性について議論を進める。
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