研究課題/領域番号 |
23K23294
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補助金の研究課題番号 |
22H02026 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
並河 英紀 山形大学, 理学部, 教授 (30372262)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 非平衡 / 自己組織化 / 反応拡散 / アミロイドβ / リーゼガング |
研究開始時の研究の概要 |
生命・非生命を問わず自然界の開放系自己組織化機構を閉鎖系研究から追究することは本質的誤りを導く一因になり得ることは確実である。この問題点を解決するには、「閉鎖系には閉鎖系、開放系には開放系」という非常に単純な本質に立ち返るだけで良い。すなわち、生命・非生命を問わず自然界の非平衡自己組織化に関する研究を行う上では、閉鎖系(流束=0)に依存した現在の研究手法から「流束を選択律とした自己組織化の学理」へとシフトさせる必要性があり、この点こそが本研究の学術的な「問い」であり本研究の目指すところである。
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研究実績の概要 |
まず、分子自己組織化系では外部からのAβmon供給が可能な実験系を構築し、実験的に制御可能なAβmon流束がAβ線維化に及ぼす影響を検証した。その結果、外部からの流束が無い閉鎖系と比較し、外部からの流束のある開放系はAβ線維化、脂質との複合化、平面二重膜に対する活性などに有意差が生じることが確認された。まず線維化においては速度論的な差が確認された。閉鎖系では24時間経過後に観測される凝集体はほぼ10 um^2未満の微小なものであるのに対し、開放系では24時間後には30%以上が10 um^2を超える凝集体へと成長していた。更に、その凝集体のAβ/脂質も閉鎖系と開放系とでは異なっており、開放系ではAb組成の高い凝集体が形成していた。また、脂質膜との相互作用の一種であるdetergent効果にも差が生じていた。閉鎖系では直径数 um程度のポアを形成させるマクロなdetergent効果を発言したのに対し、開放系では蛍光顕微鏡の空間分解能未満の微視的なポアを形成させるdetergent効果を発動させていた。さらに、detergent効果により脱離したAβ/脂質複合体が脂質二重膜に再付着した積層構造が観測されたが、その積層楮におけるAβ/脂質も閉鎖系・開放系とでは異なっており、開放系の方がAβ組成が高いことが確認された。すなわち、脂質膜とAβとの相互作用によって進行するdetergent効果において、膜内でのAβ-脂質会合体の最安定構造が閉鎖系と開放系とでは異なっていることが示唆された。更に、反応拡散系においては物質流束を変動させることによる自己組織化の空間周期特性の遷移現象を実験的に捉えることに成功し、更に、その遷移現象がエントロピー生成速度の高い自己組織化を選択する選択律が働いていることを明確化することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画をしていた自然界における「物質流束を伴わない平衡系自己組織化」と「物質流束を伴う非平衡系自己組織化」を「流束を関数とした自己組織化プログラム」として捉え、その制御因子である流束が自己組織化機構へ果たす役割を明確化する目的に対し、今年度は分子自己組織化系をモデルにした実験を行い、「研究実績の概要」欄でも述べたような平衡系と非平衡系での自己組織化の速度論・熱力学的相違を発見することに成功している。更に、反応拡散系においてはも重要なキーワードであるMEPP(エントロピー生成速度最大原理)に基づいた自己組織化の空間周期特性の遷移現象を実験的に捉えることに成功し、MEPPが反応拡散系でも選択律として働いていることを明確化することに成功した。以上、当初予定通りに研究が進行しており、【今後の研究の推進方策】で述べる来年度以降の研究へとつなげることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は限られた脂質組成・Aβ条件でのみ「物質流束を伴わない平衡系自己組織化」と「物質流束を伴う非平衡系自己組織化」の対比を行ってきたが、依然として生体内条件とは必ずしも整合性が取れたものではなかった。そこで、2023年度は脂質組成(例えばGM1、SM、Cholなど)に対する依存性も考慮した平衡系・非平衡系での議論を進める。更に、反応拡散系でも基質流束の時空間制御、反応速度の時空間的制御に基づき、得られる組織化構造(周期型・螺旋型など)の分岐現象を捉えることを目指す。特に今後は分岐現象の支配因子の一つと考えられる物質流束と反応速度のバランスを、反応温度の関数として制御することで、構造の分岐現象に対する反応拡散機構の関与を実験から明確化する。さらに、得られた実験結果を反抗拡散シミュレーションと対比することで、分岐現象を支配する素過程の明確化も試みる。
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