研究課題/領域番号 |
23K23300
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補助金の研究課題番号 |
22H02032 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長岡 正隆 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任教授 (50201679)
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研究分担者 |
北村 勇吉 静岡大学, 工学部, 助教 (00855702)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 蛋白質機能調節 / 時系列クラスタリング / 配置選択定pH法 / データ科学 / pH依存性運搬ペプチド / アンサンブルMD法 |
研究開始時の研究の概要 |
分子集合状態では、共溶質分子濃度や水素イオン指数(pH)の変化に伴った蛋白質機能調節の分子機構の解明が待たれている。本研究では、アンサンブルMD法や配置選択定pH法を開発すると同時に、ペプチドやヘモグロビンを例に、pH変化に伴った側鎖のpKa変化や蛋白質の機能特性変化を微視的に明らかにする。本研究の成果は、将来的に、生体高分子の高次構造の時系列解析を通して、ガン細胞の発現過程でも重要視されている膜チャネルの開閉機構等の解明に繋がるものと期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は、ヘモグロビンにおいて観測されているエフェクター分子と部位特異的相互作用の相関関数について、非部位特異的相互作用の役割を分子動力学(MD)シミュレーションから解明を進めた。R状態Hbはその周辺でRやRR2などの構造間を動的に遷移していると言われているが、βHis143及びβHis146の残基側鎖のプロトン化状態変化が構造的安定性に及ぼす影響について明らかにした。さらに、R状態以外の立体構造を初期構造として、溶媒中に溶存する酸素分子や塩素イオンの濃度を大きくした条件でのMDシミュレーションを実行して、これらのエフェクター分子の濃度依存性に対する非部位特定的な寄与を明らかにした。また、ヘモグロビンタンパク質のpH依存性に寄与する26表面ヒスチジン残基のプロトン化状態をpHに応じて変化させた分子シミュレーションを実行することで、R状態Hbはその周辺でR2状態やRR2状態などの構造間の遷移挙動を調査し、局所構造およびエネルギー変化を詳細に解析した。 また、本年度は、pH応答型膜貫通ペプチドの理解を目指して、酸性残基からなる多プロトン化部位を有するペプチドに対して、これまでに我々が開発したGPU対応版配置選択定pH法を適用した。異なるpH条件での立体配座変化に対して、主鎖の構造変化をラマチャンドランプロット上での分布変化、溶媒和構造の解析をした。これまで開発してきたグラフィックボードユニット(GPU)対応版の配置選択定pH法を、多プロトン化部位を有するペプチドに対して適用する過程において、プロトン化状態の側鎖カルボキシル基が取りうる同等の立体配座間を効率的にサンプリングする遷移モデル(3PTモデル)を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定の計画が実行できているが、アミノ基やカルボキシ基などのプロトン化状態は、ミクロな実現が複数あるため、MDシミュレーション的には、その取り扱いが見かけより複雑になるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、pH応答型膜貫通ペプチドの理解を目指して、pHD15ペプチドなどの酸性残基を含むペプチドに対して、酸性残基のプロトン化状態遷移プロセスに対して3PTモデルを採用した配置選択定pH法を適用する。これまで、異なるpH条件での立体配座変化に対して、主鎖の構造変化をラマチャンドランプロット上での分布変化を解析して、酸性条件では膜貫通する立体構造の振る舞いについて調査してきた。さらに、ヘモグロビンのpHに応じて変化させたモデルシステムに対して、生理条件での塩素イオン濃度としていたが、これまでの我々のT状態ヘモグロビンに対する分子動力学(MD)シミュレーション研究から、酸素分圧と塩素イオン濃度に対する影響は反対の作用をもたらすことが知られている。そこで、昨年度のpH依存シミュレーションを発展させて、R状態以外の立体構造を初期構造として、溶媒中に溶存する酸素分子や塩素イオンの濃度を変化させた計算条件でのMDシミュレーションを実行して、pH依存性に関連したエフェクター分子の濃度依存性に対する非部位特定的な寄与の解析を行う。
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