研究課題/領域番号 |
23K23307
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補助金の研究課題番号 |
22H02039 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
近藤 寛 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (80302800)
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研究分担者 |
豊島 遼 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (20844806)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | オペランド計測 / 軟X線吸収分光 / 光触媒 / X線吸収分光 / 触媒 / 極端軟X線 / XAFS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、電子およびイオンのような電荷をもった粒子を検出することで、真空から大気圧そして液中に至るまでの幅広い測定環境をカバーできる表面XAFS測定システムを立ち上げる。この計測システムを用いて、反応活性種がなかなか同定できない触媒反応や触媒表面での光誘起キャリアーの振る舞いが鍵になる光触媒反応などの反応中の触媒および反応種の化学状態を計測し、その反応機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は本課題の2年目であり、荷電粒子収量による極端軟X線領域のX線吸収分光(XAS)と質量分析法による反応生成物計測ができる装置の製作を継続するとともに、初年度に製作した光ファイバーを組み込んだ固気界面用XAS測定セルを用いて、水分解光触媒の紫外・可視光照射下のオペランド計測に取り組んだ。さらに、本手法を応用するのに適した触媒反応系の探索も行った。 装置製作については、今年度は固液界面用セルを改良し、荷電粒子収量信号を安定的に測定できるようになった。このセルを用いて、いくつかの固液界面のXAS測定を行い、測定に用いる電極の組み合わせとアースとの接続の仕方で、界面敏感なスペクトルとバルク液体敏感なスペクトル、およびその中間領域のスペクトルを測定し分けることができることを見出した。また、質量分析計からのサンプリング管の先端に取り付けるフィルターを工夫することで、固気界面および固液界面で生成したガスをリアルタイム計測できることを確認した。 水分解光触媒のオペランド計測では、固気界面用XAS測定セルにアルミドープチタン酸ストロンチウム光触媒と飽和水蒸気を導入し、紫外・可視光照射によって誘起するキャリアーの活性サイト(助触媒)への移動を助触媒のXASによって調べた。その結果、水分解につながる有効なキャリアー移動には水蒸気の存在と、水素発生助触媒と酸素発生助触媒の両方が存在していることが必要であることを見出した。また、そのときの助触媒におけるキャリアーの特異的な存在の仕方も見出すことができた。 さらに、水分解光触媒以外の観測対象の候補として、炭化水素の部分酸化とCO2還元に有効な触媒の特性を調べ、本手法の応用の可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
荷電粒子収量による極端軟X線領域のX線吸収分光(XAS)装置を立ち上げることができ、それを実際の水分解光触媒の測定に適用し、光誘起キャリアーの振舞いに関する有用な情報を得ることができた。また、固液界面用セルにおける荷電粒子収量XASの測定においては、測定モードの違いによって3つの異なる測定領域の情報を得られることが新たにわかり、この手法の予想外の有用性を見出すことができた。質量分析法によるリアルタイム観測については、固気界面の微量生成種の検出は問題なく行えることを確認できた。一方、固液界面の生成種の検出については、液中溶存種の検出効率が予想以上に低いために工夫が必要であることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
固液界面用セルでの荷電粒子収量X線吸収分光で見出した領域選択的測定を系統的に行い、その技術的確立を目指すとともに、これを水中の光触媒に適用して、水中の光触媒表面の電子状態や光触媒近傍の水の化学構造およびそれらの紫外・可視光照射下における変化に関する情報を得ることを目指す。また、固気界面セルでのXAS測定と質量分析測定の同時測定を通して、水分解光触媒および他の酸化・還元触媒において、触媒を活性化する要因・不活性化する要因をつきとめ、触媒反応機構の解明につなげることを目指す。
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