研究課題/領域番号 |
23K23311
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補助金の研究課題番号 |
22H02043 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
板倉 隆二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 量子応用光学研究部, 上席研究員 (80334241)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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キーワード | 電子ダイナミクス / 光電子干渉 / 位相計測 / 極短パルスレーザー / アト秒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、レーザー電場中の電子波動関数について位相を含めた複素振幅の変化を明らかにし、波動関数の実時間変化を可視化することを目的とする。独自に考案した真空紫外波長域の干渉計を開発し、真空紫外ダブルパルスによる光電子干渉計測装置を構築する。そして、レーザー電場中におかれた分子の光電子波動関数の複素振幅の変化を実時間追跡する。時間依存密度汎関数法をベースとした実時間・実空間の電子ダイナミクス理論計算も行い、レーザー電場により誘起される分子内電子ダイナミクスを解明する。
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研究実績の概要 |
令和5年度の研究実績は以下の3項目にまとめられる。 i) 真空紫外波長域における干渉計の開発: 高位置分解能のピエゾステージを、分割ミラーホルダーおよびステージ類を組み合わせてシステムを組み上げ、動作テストを行った。波長100nm前後の極端紫外光の干渉を計測するためには、位置安定性および分解能が波長の1/10(10nm)程度は必要であり、ピエゾステージの性能だけではなく、ホルダーや他のステージなどの保持性能も重要であるが、システムとして組み込んだ状態で、10nm以下の精度でステージを保持できることが確認できた。 ii) 光電子計測装置: 光電子・光イオン3次元運動量同時計測装置の高度化を進めた。分子配向角度を分解した光電子運動量3次元分布の測定結果に対して、位相も含めた複素振幅を導出する方法を開発し、Phys. Rev. A 誌にて発表した。また、光電子運動量を正確な高分解能のデータとして得るため、使用するデレイラインアノードの巻き付けの不完全性に起因する3次元画像の歪みを正しく校正する手法を確立した。具体的には2次元データを得るために3組のデレイラインから得た3組のデータを利用する冗長性に着目して、その辻褄が合う条件を導出した。また、電子検出器直前に設置した金属メッシュ電極の像が測定されることを利用して、メッシュの格子間隔から位置校正をした結果、画像の歪みが解消し、精度の高い運動量データを得ることができた。この結果、CCDやCMOSカメラに比べ、位置敏感デレイライン型アノードが劣るとされていた画像の位置精度を向上させることができた。 iii) 分子駆動用赤外レーザー場の位相計測: 分子を駆動する数サイクルの赤外レーザー電場について、レーザーショット毎に絶対位相のタグ付けを行うため、f-to-2f 干渉計測装置を光電子・光イオン3次元運動量同時計測装置の下流に設置した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
真空紫外波長域の干渉計の構築、光電子運動量画像装置の高度化、励起レーザーとしての数サイクル赤外パルスの安定運転とレーザーショット毎の位相のタグ付け装置など、主要な構成要素の準備が大方終わり、順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発、高度化を終えた各構成要素を全体のシステムとして組み上げ、真空紫外干渉パルスによる光電子干渉運動量分布を測定し、最終目標である、赤外数サイクルパルスによる状態変化について、光電子干渉計測を通じて、明らかにする。
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