研究課題/領域番号 |
23K23332
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補助金の研究課題番号 |
22H02064 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清水 宗治 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70431492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | オキサポルフィリン / 反芳香族性 / 3次元芳香族性 / Baird芳香族性 / スピントロニクス / 3次元芳香族性 |
研究開始時の研究の概要 |
オキサポルフィリンとbile pigmentsと称されるオリゴピロール類縁体は、ヘムの代謝過程への関心から生合成経路の研究は盛んに行われているが、その合成・物性化学はほとんど未開拓である。研究代表者は反芳香族性などの観点から、オキサポルフィリン類縁体の合成・物性化学が、ポルフィリンの化学に匹敵するほど豊富であり、構造有機化学の発展性と応用物性の潜在性の高さから、基盤研究領域となり得ることを確信している。本研究ではbile pigmentsからオキサポルフィリンへの変換を鍵反応に用いて、種々のオキサポルフィリン類縁体の合成と集合体の構築に挑戦し、物性化学の開拓と機能応用を展開する。
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研究実績の概要 |
研究計画初年度の今年度は5,15-ジオキサポルフィリン(DOP)の種々の官能基化を確立した。その後、STM-ブレイクジャンクション(BJ)測定用のサンプルとして、4-アミノフェニルエチニル基を有するDOPを合成した。異性体の混合物として得た後に、シリカゲルカラムで分離することで、対面に4-アミノフェニルエチニル基を有する目的のDOPを得た。これを用いてSTM-BJ測定を行ったところ、芳香族分子よりも一桁大きな単分子伝導度を有することがわかった。一方で、4-アミノフェニルエチニル基ではSTM短針とのジャンクション形成率が低かったことから、異なる架橋基を有するDOPを合成し、検証する必要が生じた。理論計算等による予測から、架橋基について選定を行い、分子設計を進めた。DOPの官能基化に基づく、集合体合成にも着手しており、周辺にピリジル基を有するDOPの合成について検討を進めた。また、4-アミノフェニルエチニル基を用いて、Schiff塩基形成反応により、金属架橋部位の導入と錯化による集合体合成も試みた。架橋基の導入までは確認したものの、続く金属錯化が起こらなかったことから、条件を変えて、検討を進めた。DOP以外のオキサポルフィリン類縁体の合成では、モノオキササブポルフィリンの合成検討を進めるために、前駆体であるトリピランの反応性について精査して、合成経路の絞り込みを行った。結果として、末端がブロモ化されたトリピランのホウ素錯体を得て、次の酸素の導入反応について条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
STM-BJ測定用のサンプル合成が一番の懸案事項であったが、合成法を確立し、またSTM-BJ測定にも成功していることから、当初の計画以上に進展していると判断している。その他のオキサポルフィリン類縁体の合成については、前駆体の反応性に基づき、合成経路が確率しつつあることから、こちらについても想定以上に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
STM-BJ測定ではサンプルを電解して酸化状態を変化させることで、同一分子を用いて、芳香族と反芳香族の状態における伝導度の違いを解明する。また、理論計算により、印加電圧を変化させることで、単分子伝導度が大きく変化することが予測されている。高いON/OFF機能を持った単分子素子への展開が期待できることから、基礎物性について精査する。オキサポルフィリン類縁体の合成ではモノオキサポルフィリンの合成を進めるとともに、他の類縁体の合成についてもできる限り進める予定である。DOPの集合体では、前駆体の合成は確立できているので、既存の合成手法を用いることで、迅速にいくつかの集合体の合成を進める。
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