研究課題/領域番号 |
23K23333
|
補助金の研究課題番号 |
22H02065 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
|
研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
沼田 宗典 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70423564)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
|
キーワード | 超分子化学 / 非平衡系 / 超分子科学 / 分子集積化学 / 超分子 |
研究開始時の研究の概要 |
分子から材料へ至るあらゆる階層を緻密な分子情報で充填するためには,マイクロ領域においてナノ機能を集約したディスクリートな超構造の創製が不可欠である。本申請では,マイクロ流体の直線運動量を超分子-分子反応のエネルギーとする独自の戦略を基軸として,超分子構造の特定の位置に望みの分子を選択的に接合させる技術を開発する。これにより,従来の溶液化学では実現不可能とされる,集積分子数・異種分子間の配置・さらに分子配列の方向を厳密に制御する分子システムを実現させ,精密なナ ノ構造を高密度に内在させたディスクリートなマイクロ超分子群の創製に挑戦する
|
研究実績の概要 |
本課題では、マイクロ流体の直線運動量を超分子-分子反応のエネルギーとする独自の戦略を基軸として、超分子構造の特定の位置に望みの分子を選択的に接合させる技術の開発を目指した。既に2種類のペリレンビスイミド誘導体を用いて、ポリマー末端への分子衝突を駆動力としたAB型ジブロックポリマーの創製を報告している。2023年度は引き続き、ポルフィリン分子を用いたAB型ジブロックポリマーの創製を目的とした研究を展開した。 既に、別途調製したTPPSポルフィリン(水溶性ポルフィリンの一種)からなる超分子ポリマーの溶液に、側鎖部の立体的が異なるTPPS誘導体(第2モノマー分子)を加え、混合溶液をマイクロチャンネルにインジェクションすると、第2モノマーが次々と連結することで異種分子接合部を持つABブロック構造が創製できることを確かめている。2023年度は更なる構造の拡張を目的として、 TPPSポルフィリンからTPPS超分子ポリマーへと至る超分子重合をマイクロフロー空間の上流部で実行し、下流部において側鎖部の立体的が異なるTPPS誘導体(第2モノマー分子)と反応させることで、新たな超分子ブロックポリマーの創製を試みた。第2モノマーを導入する位置を変化させることにより、TPPS超分子ポリマーとの反応のタイミングを自在に制御できると期待される。マイクロチャンネルから流出した溶液の分光測定の結果、導入位置の違いにかかわらずTPPS超分子ポリマーと第2モノマーが反応していることが示唆された。これは2種類のモノマーが関与した共重合体の創製を意味している。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた構造解析の結果、期待した通り、TPPSポルフィリン末端に第2モノマーが選択的に結合していることが明らかとなった。今後、第2モノマーの導入位置を制御することにより、ランダムコポリマーやグラジェントポリマーの創製が可能になると期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の大きな目的の1つはマイクロ流体のエネルギーを用いて「様々な異種π共役分子同士を確実に接合する基盤技術を確立する」ことである。2022年度はポルフィリン分子を用いてこの分子接合技術が確立できた。2023年度は確立した技術を活用してさらに複雑な分子配列の制御へと展開することができた。分子数や分子の相対的な位置の正確な制御までは達成されていないが、本申請課題の最終目標である「数・位置・方向の制御」を達成するための基盤技術は確立されつつあると確信する。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度(最終年度)はこれまでに確立した基盤技術を土台として、まず複雑な分子配列(例えば、ランダム共重合やブロック共重合など)を時空間制御のコンセプトの下に自在に制御することを目指したい。またこれまでポルフィリン分子をモノマーとして基本的な知見を得てきたが、子の知見を基にしてさまざまなπ共役系分子へと拡張することで、一般性の確立を目指していく予定である。特に、π共役系分子骨格の歪みや周辺の立体障害が存在する場合にも、マイクロ流体の作用により、能動的な会合が起きるのかどうかについて詳細な検討を実施していく予定である。さらに2種類のモノマーから3種類のモノマーの反応系へと展開することで、最終目標であるトリブロックポリマー創製の基盤技術の確立に挑戦する予定である。
|