研究課題/領域番号 |
23K23339
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補助金の研究課題番号 |
22H02071 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 公益財団法人相模中央化学研究所 (2023-2024) 筑波大学 (2022) |
研究代表者 |
市川 淳士 公益財団法人相模中央化学研究所, その他部局等, 特任(招聘)研究員 (70184611)
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研究分担者 |
渕辺 耕平 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10348493)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 多環式芳香族炭化水素 / フッ素 / カチオン環化 / フルオロアルケン / ルイス酸 / 環構築 / カルボカチオン / PAH / 電子材料 / 有機半導体 / 医薬 / 農薬 / 有機化学 / 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 電子・電気材料 / 含フッ素有機化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
有機(光)電子デバイスの新材料開発に向け、ピンポイントでフッ素置換した多環式芳香族炭化水素(F-PAH)の選択的な自在合成法を確立する。F-PAHは、フッ素置換によってPAHの問題点(キャリア移動度・空気酸化への安定性・有機溶媒への可溶性の改善)を解決し、半導体材料としての飛躍的な性能向上が期待できるものの、未だF-PAHに系統的な合成法はない。我々が開発してきた含フッ素アルケン・アレンのカチオン環化をさらに展開し、これらを効率的に組合せることでF-PAHを自在に提供する。得られるF-PAHのライブラリーから、構造・機能とフッ素置換位置との相関関係を解明し、機能性材料に新たな開発指針を与える。
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研究実績の概要 |
2022年度は、フルオロアルケン類の連続環化により一連のアセン合成法を開発した。入手容易な出発物質であるマロン酸ジエステルから二つのアリール基を有する(トリフルオロメチル)アルケンを調製し、環化前駆体とした。これに対し、(i)ジメチルアルミニウムクロリドを作用させ、ドミノ形式の連続環化で一挙に二環を形成し、フルオロジヒドロ[4]アセンを得た。さらに、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン (DDQ) による脱水素で、5-フルオロ[4]アセンを合成することに成功した(A法)。また、環化前駆体に(ii) ジメチルアルミニウムクロリドとトリメチルアルミニウムからなる二元系ルイス酸を作用させ、まず一環を形成した。得た二環式ジフルオロアルケンにトリフルオロメタンスルホン酸を作用させ、さらにもう一環を形成して四環式ケトンとした。置換基導入と芳香族化により、5位にアリール基を有する[4]アセンを合成することに成功した(B法)。加えて、(iii) 上で得た二環式ジフルオロアルケンに対し、トリフルオロメタンスルホン酸の存在下でDDQを作用させ、ジフルオロアリルカチオンを経て四環式エノンとした。これに二つの置換基導入と脱水素を行い、5,6位に二つの置換基を有するジヒドロ[4]アセンを合成することにも成功した(C法)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目標は、少数のフッ素で位置選択的に置換した多環式芳香族炭化水素合成法の体系を構築することである。2022年度は本来の目的であるピンポイントフッ素化多環式芳香族化合物の合成法だけでなく、フッ素置換基を持たない置換多環式芳香族化合物の合成法も開発することができた。 以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、炭素だけからなるピンポイントフッ素化多環式芳香族化合物だけでなく、対応するヘテロ芳香族化合物も標的としている。ヘテロ芳香族化合物にも、有機電子材料などとして期待されている化合物が数多く存在する。そこで今後は、これらピンポイントフッ素化ヘテロ芳香族化合物の合成法についても検討していきたい。例えば、ジフルオロアルケンの特異な環化によるフルオロインドール合成法などを開発する。
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