研究課題/領域番号 |
23K23341
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補助金の研究課題番号 |
22H02073 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
加納 太一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40372560)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 三級アミン / 有機触媒 / 不斉合成 / 三級アミン触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
現在汎用されている三級アミン触媒は天然物原料由来のものに限定されているため、基本構造が画一的で触媒設計の自由度が低く、その開発研究は大きく立ち遅れている。本研究では、天然物原料に依存しない設計自由度の高いキラル三級アミンを開発して、三級アミン触媒の化学に革新をもたらす。また開発した三級アミン触媒と金属触媒とが錯形成せずに同時に機能する協働触媒系の確立も目指す。
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研究実績の概要 |
現在不斉合成に用いられているほとんどのキヌクリジン型の三級アミン触媒は、天然物であるシンコナアルカロイドかその誘導体に限定されている。本研究は、反応性や選択性といった機能面や設計自由度という実用面で、シンコナアルカロイドを凌駕するようなキラル三級アミンの創製をめざしたものである。本年度は、独自に設計した次世代型三級アミンの基本構造となる中間体の不斉合成法は確立できたものの、合成の各段階の収率に問題があり、また合成したラセミ体の光学分割の再現性の低さなどから、触媒の構造を見直し、より簡便な触媒合成法の確立を目指した。その結果、入手容易で安価な光学活性アミンである1-フェニルエチルアミンを原料にした、新たな中間体の簡便な合成法を見出した。この新しい合成中間体の分子内に組み込んだ光学活性な1-フェニルエチルアミン部位が、その後の変換反応の際の立体選択性に大きく影響し、目的の合成中間体のジアステレオマーを高い立体選択性で得られることが分かった。これにより、研究当初に合成した第一世代の三級アミン触媒の合成とは異なり、再結晶による光学分割を回避することが可能となった。また初期検討において、少量ではあるものの合成して光学分割した第一世代の三級アミン触媒は、既存のシンコナアルカロイド由来の三級アミン触媒と比較して、反応速度や選択性が上回るケースも見られた。この結果は、本研究で開発を目指している非天然型の三級アミンの触媒としての可能性を示すものであり、今後さらなる知見を集める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標であった天然物を原料としない、人工の新規三級アミン触媒を合成して、光学分割することができた。またそれを用いたいくつかの不斉触媒反応において、既存の天然由来の三級アミン触媒を収率や選択性において超える結果を得た。その一方で、触媒合成における中間体の合成のスケールを大きくすることが困難で、触媒の光学分割も再現性が低かったため、当初の想定よりも必要量の触媒を供給に時間がかかることが明らかとなった。そこで問題となっている箇所を回避できるよう触媒設計を見直し、新たな触媒合成法を検討した結果、有望な触媒構造とその合成ルートを見出すに至った。
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今後の研究の推進方策 |
新たに設計した触媒中間体は、研究当初に想定していた合成中間体よりも簡便に合成できることが判明したが、原料を変えたことによって、合成に用いる反応も変わっているため、各段階ごとにもっとも高収率かつ高立体選択的に生成物が得られる最適な反応条件を検討する。それと並行して、得られた中間体から順次三級アミン触媒を合成して、新規触媒の性質を明らかにするためにさまざまな不斉触媒反応に適用する。新しい三級アミン触媒の特徴をもとに、適用する反応を選定してその有効性を示す。また、特徴を活かした新しい反応の開発も進める。
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