研究課題/領域番号 |
23K23346
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補助金の研究課題番号 |
22H02078 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南方 聖司 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90273599)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | アミノ化 / イオン / ラジカル / イオン反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、未だ見出されていない窒素原子の潜在的な反応性を引き出すべく、窒素-ハロゲン結合を有する化学種を設計・調製し、窒素をイオン的およびラジカル的に反応させる方法論の開拓に取り組む。本提案では、Csp2-HおよびCsp3-Hのアミノ化を窒素-ハロゲン結合を有する試剤を活用して実現させるものであり、これまで遷移金属や光レドックス触媒等(貴重な金属触媒を含む)を必要としていた反応を無触媒で進行させる、およびこれまで困難であった反応を生起させる等、多才なアミノ化反応の開発に主眼をおいている。
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研究実績の概要 |
本研究では、これまで殆ど知られていない化学修飾によって窒素原子を活性化し、その制御を緻密に行うことで、イオン的およびラジカル的に化学反応をコントロールして多才なアミノ化反応を見出すことを目的としており、その化学修飾としては、窒素とハロゲンの結合を有し、そのハロゲンを活性化するためにさらに電子求引基を窒素原子に導入した反応剤を設計し、二電子および一電子反応に応用する。当該年度はイオン的なアミノ化の反応として、電子不足なアルケンのジアミノ化を開拓した。種々、検討した結果、ジブロモノシルアミドが触媒としてクロラミンNsを窒素源とすることで、クロトン酸エステルのα,β-ジアミノ化反応が進行することを見出した。しかし、触媒であるジブロモノシルアミドは、クロラミンNsに臭素を作用させることで合成できるが、臭素の毒性やジブロモノシルアミド自体の光安定性の悪さなどの問題があった。そこで、反応の系内でジブロモノシルアミドを発生させることを考えた。即ち、ジクロロノシルアミドに臭化物塩を作用させて、ハロゲン交換反応によって発生させるというものである。我々は、この試薬をノシルアミドに次亜塩素酸ナトリウム5水和物と酢酸を作用させることにより調製できることを見出した。ジクロロノシルアミドは安定であり、非常に取り扱いやすいことも判った。結局、2当量のクロラミンNs(ジアミノ化の窒素源)と触媒量のジクロロノシルアミドとNaBrを用いるもとによって、α,β-不飽和カルボニル化合物のアンチジアミノ化反応が進行することを発見した。この反応は、α,β-不飽和エステルのみならず、アミドやケトンにも適用でき、幅広い基質に対して有効であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年度では、Boc基が置換したクロラミン塩を用いて、アルキルトシラートなどの求電子剤と反応させることによって、容易に第一級アミン等価体(Boc基が置換したアルキルアミン)を合成することができた。これは、来のアミノ化を凌駕できる方法論であり、今後の活用が期待できる。また、Boc基を外す前に、アルキル求電子剤と反応させることで、第二級アミンへと導け、多彩なアミン誘導体を極めた単純な方法で合成できる方法論を確立した。 昨年度に目標としていたα,β-不飽和カルボニル化合物のイオン的なジアミノ化反応は、十分達成することができた。幅広いα,β-不飽和カルボニル化合物に適用化で、また窒素上を自由自在に官能基化できる方法であることから、多種多様な非天然のアミノ酸の合成法を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、我々独自でその合成法を見出しているN,N-ジハロスルホンアミドを蚊通用するラジカル 反応を経由した、不活性なC(sp3)-H結合の官能化を伴う高難度な反応に挑戦する。予備的研究の中で、N,N-ジブロモノシルアミドは黄色固体であり、可視光下での保存が厳しく、特にN,N-ジブロモノシルアミドは相対的に可視光に対して不安定であるという、定性的な知見を得ている。この不安定要素を逆手にとって考えると、N,N-ジブロモノシルアミドは可視光によって窒素-臭素結合が均一に開裂できるのではないかという仮説を立てた。また、窒素原子に臭素原子2つとNs基が置換しており分子全体が非常に電子不足となっており、LUMOのエネルギーレベルが低下していると考えられ、強い酸化剤(一電子受容体)となるのではないかと考えた。このことから、さらに発想を膨らませると、N-Br結合のσ*は高いルイス酸性となり、ルイス塩基(LB)と電子ドナー・アクセプター錯体(EDA complex)を形成し、光あるいは熱エネルギーで一電子移動(SET)が生起し、アミジルラジカルが生成すると考案した。このことを活用し、ヘテロ原子のα位およびベンジル位のCsp3-Hのアミノ化およびCsp3-Hのダブルアミノ化などにチャレンジし、これまでに類を見ない反応の確率を目指す。
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