研究課題/領域番号 |
23K23347
|
補助金の研究課題番号 |
22H02079 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉田 拡人 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (40335708)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
|
キーワード | トランスメタル化 / 有機スズ反応剤 / 銅触媒 / クロスカップリング / スタニル化反応 |
研究開始時の研究の概要 |
スズ-銅のトランスメタル化は,スズを用いるクロスカップリングにおける銅塩の加速効果(Copper Effect)の起源である.本研究は,スズ-銅のトランスメタル化の進行はどのような因子に支配されるかという学術的問いを基軸に,その因子解明,トランスメタル化を促進する新反応剤デザイン,およびそれらを鍵とする革新的炭素-炭素結合形成反応やメタル化反応,を開発することを目的としている.
|
研究実績の概要 |
スズ-銅のトランスメタル化は,有機スズ反応剤を用いるクロスカップリングにおける銅塩の加速効果の起源である.しかし,その進行を左右する因子については,未だ不明な点が多い.我々はその制御因子の一つがスズのルイス酸性の高さであることを明らかにし,実験的には 119Sn NMR 化学シフト,理論計算では,Global Electrophilicity Index (GEI)が最も適していることを明らかにした.これらの手法に基づき,アリールおよびヘテロアリールスズのルイス酸性を統一的に評価できる.この手法を用いて評価できるアリールスズのルイス酸性をもとにすれば,銅触媒へのトランスメタル化活性を予見できる.これにより,同時に存在する2つのスズ部位を見分けるサイト選択的な右田-小杉-Stille カップリングを達成した.また,スズのルイス酸性を定性的に評価できるようになったことで,ヘテロアリールスズのトランスメタル化活性は,スズ部位のルイス酸性ではなく配向性のヘテロ元素によって主に促進されていることも明らかにできた. さらに,1,2-ジスタニルアレーンを銅触媒とトランスメタル化させる基質として用い,系中で発生させたアラインと反応させると,一方のスズ部位でのトランスメタル化によるアリール銅の生成,生じたアリール銅のアラインへの付加によるビアリール銅の生成,最後にビアリール銅を求核部とする残ったスズ上でのメチル基脱離を伴う環化,を経たジベンゾスタノール合成反応が達成できることを見つけた.このアラインを用いたスタニル化環化反応はさらに,1,8-ジスタニルナフタレン類へも展開でき,スズを含む六員環のスタニン誘導体の触媒的合成にも成功した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アリールスズ反応剤と銅触媒とのトランスメタル化を促進する主要因子として,スズのルイス酸性の高さ・配向性官能基の存在・反応に関与するアリール基の求核性の高さ,の3つを明らかにできた.さらに,それを軸とすることでサイト選択的クロスカップリング反応やアラインを用いるスタニル化環化反応などの新しい炭素-炭素結合および炭素-スズ形成反応へと順調に展開できている点で進展度合いは高いと判断できる.特に,主要因子の1つであるアリールスズのルイス酸性を実験的にはスズNMRの化学シフトで,理論計算では GEI で評価できることを各種データから明らかにした点も順調な進捗状況と判断する理由である.
|
今後の研究の推進方策 |
パラジウム-銅協働触媒によるアリールスズのサイト選択的クロスカップリングについては,一定の成果を得たので論文化を進める方策である.また,1,2-ジスタニルアレーンおよび1,8-ジスタニルナフタレンを用いたアラインとの銅触媒スタニル化環化反応については,基質適用範囲検討がほぼ終了したので反応で得られるスズ含有環状化合物の合成変換へと応用した後にこれも論文化を目指す.またさらに,銅触媒へのトランスメタル化を促進する新しい因子としてのダミー置換基のデザインについても今年度は検討を進め新しい炭素ー炭素結合形成反応開発へと発展させる.
|