研究課題/領域番号 |
23K23352
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補助金の研究課題番号 |
22H02084 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆章 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70509926)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2026年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | アミド / 求核付加反応 / アルカロイド / 全合成 / 天然物の全合成 |
研究開始時の研究の概要 |
複雑な分子構造ゆえに医薬品候補から除外されていた多環性アルカロイドの完全化学合成を目指し、アミド基選択的な求核付加反応を基盤とした「超短工程化アミド戦略」の一般化と、多環性アルカロイドの短工程合成を目的とする。本戦略の最大の課題は、低い求電子性のアミド基に対する求核付加反応であるが、独自に開発してきたIr触媒を用いたアミド基選択的な求核付加反応により解決する。具体的には、還元的アゾメチンイリド合成法(課題1)、還元的ニトロン合成法(課題2)、還元的Mannich反応(課題3)を鍵反応とし、3種の多環性アルカロイドの短工程合成を実現する。
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研究実績の概要 |
複雑な分子構造ゆえに医薬品候補から除外されていた多環性アルカロイドを完全化学合成で実践供給するため、アミド基選択的な求核付加反応を基盤とした「超短工程化アミド戦略」の一般化と、多環性アルカロイドの短工程合成を目的とした。本戦略では、1)入手容易で化学的に安定なアミドを出発原料とし、2)合成序盤におけるアミド基の反応性を利用した連続的な骨格形成と、3)合成終盤のアミド基選択的な求核付加反応により、これまでの常識を超えた短工程数で、多置換アミン骨格が合成可能になる。具体的には、還元的アゾメチンイリド合成法による二量体インドールアルカロイドの全合成(課題1)、還元的ニトロン合成法によるカリシフィリンBの全合成(課題2)、還元的Mannich反応を鍵反応としマナドマンザミンAの全合成(課題3)である。 (課題1)昨年度は、「還元的アゾメチンイリド合成法」を基盤とした単量体アスピドスペルマ類(mehranine, 11-methoxytabersonine, taberhanine)の全合成に成功した。得られた単量体天然物からPolonovski転位を用いた二量化反応を実現し、taberyunine Eとpedunculineの全合成に成功した。また、Ir触媒の還元反応と光還元触媒を組み合わせた光(3+2)環化反応の基質一般性を明らかにし、本反応を鍵反応とした単量体エブルナン類eburnamonineのラセミ体全合成を達成した。 (課題2)昨年度は、鍵中間体となるキラルラクタムの供給ルートの開発に成功した。 (課題3)昨年度は、分子の擬似的な対称性を利用したアルキル化反応を開発し、2つの大環状アミンの同時構築により、マナドマンザイミン類の五環性鍵中間体の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(課題1)二量体インドールアルカロイドの合成に必要な単量体インドール類の合成に成功した。還元的アゾメチンイリド合成法を駆使し、アスピドスペルマ類に属する単量体インドール類を3種類全合成できた。さらに、単量体のカップリング方法を確立し、2つの二量体天然物の全合成に成功した。また、「超短工程化アミド戦略」に基づき、当初の計画を越えたIr触媒の還元反応と光還元触媒を組み合わせた光(3+2)環化反応の基質一般性を明らかにし、本反応を鍵反応とした単量体エブルナン類eburnamonineのラセミ体全合成を達成した。よって、課題1は極めて順調に進んでいる。
(課題2)昨年度、全合成の実現の大きな障壁であることが分かった、キラルなラクタムの大量供給について、解決のめどが立った。
(課題3)マンザミン類の合成では、2つの大環状アミンの構築に多工程を要する点が大きな課題として知られている。しかし、「超短工程化アミド戦略」ではアミド基の特性を利用できる、2つの大環状アミンを一挙に構築できるようになり、大幅な短工程化に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
(課題1)単量体エブルナン類の不斉全合成ルートの確立と、エブルナン類とアスピドスペルマ類の二量化に取り組む。多官能基化されたインドールでのカップリングを実現するため、鈴木-宮浦カップリングやPetasis反応など穏和な反応条件で進行する二量化反応を検討する。
(課題2)合成したキラルラクタムに対し、還元的ニトロン合成法を応用して、左二環性部位を構築する。次に、1,4-付加反応で右二環性部位とカップリングし、カリシフィリンBの全合成を達成する。
(課題3)当初、計画していた還元的Mannich反応による骨格構築は困難なことが明らかとなっている。2024年度は、2つのアミド基を有する五環性中間体に対し、還元的Mannich反応に変わる反応として、還元的Pictet-Spengler反応を開発し、マナドマンザミンを合成する計画である。
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