研究課題/領域番号 |
23K23363
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補助金の研究課題番号 |
22H02095 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 東京工業大学 (2024) 名古屋大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
森本 祐麻 東京工業大学, 理学院, 准教授 (20719025)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | sp3炭素活性化 / 反応機構 / 活性酸素錯体 / 活性種直接観測 / 酸化還元反応 / 高原子価鉄オキシド錯体 / 反応機構解析 / 水酸化 / 酸化反応 / 炭化水素 / 水素引き抜き反応 |
研究開始時の研究の概要 |
反応速度定数は反応効率や選択性を始めとする、化学反応を考察する上で最も基礎となる物理化学量である。しかし反応速度定数は、反応系の電子的要因や立体的要因が複雑に関与して決まるため、定量的な評価や予測が難しい量でもある。 これまでの標準的な反応理論では、反応における自由エネルギー変化の大小と活性化障壁の大小を結びつける理論である直線的エネルギー関係から、反応速度の傾向を説明してきたが、本研究では反応における自由エネルギー変化に加えて、反応系のもつ「かたさ」のパラメータを新たに定義して反応速度の定量的評価を可能にすることを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究では、鉄(IV)(オキシド)(5,10,15,20-テトラメシチルポルフィリンラジカルアニオン)の軸配位子を変えた酸化活性種(以後、Compound I)を種々調製し、これらを用いたシクロヘキサンの酸化反応を検討することで、活性点であるオキソ配位子のトランス位配位子からの電子的摂動が、シクロヘキサン酸化反応の活性化障壁に与える影響について検討した。 Compound I 前駆体である鉄(III)錯体に、硝酸アニオン、三フッ化酢酸アニオン、フッ化物アニオン、9-フッ化-t-ブトキシドなどを配位させたものを調整し、1H NMRおよび紫外可視吸収スペクトルよりそれらの生成を確認した。さらに、これらの錯体とオゾンを反応させることによって、種々の軸配位子をもつ Compound I を生成させ、紫外可視吸収、EPR、共鳴ラマンスペクトルにより同定を行った。また、電気化学的手法を用いてこれらの錯体の一電子還元電位を測定した。続いて、錯体の溶液にシクロヘキサンを加えることでその酸化反応を開始し、電子遷移スペクトルによってCompound I濃度の経時変化を直接追跡・解析することにより、反応の速度定数(k)を決定した。得られた速度定数の対数値(ln k)について、Compound I の種々の物性値との相関を解析した。 ln k は、Compound Iの鉄-酸素伸縮振動によるラマンバンドの波数と直線性を示し、π供与性の高い軸配位子を持たせた酸化活性種ほど高い反応活性があった。これはCompound I による水素引き抜きは、反応点であるオキソ配位子のトランス配位子からのπ電子供与性により促進されるということを示している。この結果は、Compound I の活性を高めることが知られるチオラートやクロライドといった配位子の効果を矛盾なく説明するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は、前年度に確立した反応速度の解析手法を展開し、酸化活性種の反応性を決定する因子についての解析を行った。特に酸化活性種がもつ鉄-酸素結合のかたさが、軸配位子によって摂動を受けることを想定して検討を進めた。想定どおり、軸配位子を交換することで鉄-酸素結合の伸縮振動の波数は変化し、さらに酸化活性種の反応性との間に相関はあった。しかし考察対象のパラメーターの変化は2%程度であり幅が小さく、本研究課題で追求する結合のかたさと活性化障壁の関係を議論するのは難しいと結論した。しかし酸化活性種の反応性が軸配位子からのπ供与性によって制御されているという重要な知見が得られた。よって計画どおりではないものの順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまで得られたデータをまとめ、さらに必要なデータがあれば補完してゆく。高精度計算も進める。これらを統合し、sp3C-H結合の解離過程が基質のもつ化学構造によってどのように決定されるかについて考察する。
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