研究課題/領域番号 |
23K23372
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補助金の研究課題番号 |
22H02104 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
齋藤 伸吾 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60343018)
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研究分担者 |
半田 友衣子 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20586599)
鈴木 陽太 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (30981592)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | DNAアプタマー / 電気泳動 / 機械学習 / エクソソーム / in vitro選抜 / キャピラリー電気泳動 |
研究開始時の研究の概要 |
分析化学的アプローチに基づく高機能性分子認識素子としてのDNAアプタマーの創製およびその分析化学的応用を目指す。具体的には,多様なDNA配列の集合体であるランダムDNAライブラリーと標的物質(タンパク質,エクソソーム,細胞,ウィルス)を混合し,その中から標的と結合するDNAアプタマー配列を,高度な電気泳動分離によって選抜する。選抜後は,標的ごとの大規模な配列データ群が得られるが,それらをAI解析(クラスタリングやディープラーニング)することで,標的物質と強くかつ選択的に結合する配列を獲得する技術の確立を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は「1.高度な分離科学および機械学習によって,アプタマー配列選抜を可能にし,様々な標的物質(タンパク質,エクソソーム,細胞,ウィルス)に対する高機能(高親和性・高選択性・立体構造変化など)なアプタマーを創製すること」また,これを「2.新しい分子認識科学分野“DNA Aptaomics”として確立すること」である。具体的には,1ラウンド-キャピラリー電気泳動(SR-CE)によるDNAアプタマーの選抜技術によって得られる大規模配列データのAI解析によってアプタマー配列データベースを構築する。AI解析としてクラスタリングによる結合能を予測と,ディープラーニングによる選択性を予測する手法を確立する。これにより,本研究の学術的問いである,「分離科学とAI解析の融合によって高機能性アプタマー(分子認識可能な一本鎖DNA)を自在に獲得できるか」に挑戦する。 今年度は,前年度までに行ったHelaおよびHL-60細胞由来のエクソソーム(Exo)に対するSR-CE選抜によって得たDNA選抜プールの配列解析結果から,アプタマー候補配列の結合評価を行い,Hela由来Exoに選択的なアプタマーの獲得に成功した。さらに,レジオネラ菌,大腸菌,枯草菌,アデノウィルスのSR-CE選抜を実施し,選抜プールの獲得に成功した。 また,種々の人工分子導入型ライブラリーを用いたVEGFに対する選抜プールについてディープラーニングによる分類を行い,人工分子(アミン,ナフタレン,シクロデキストリン)導入によって選抜プール内に異なる特徴が発現することが判明した。 以上のようにDNAアプタマーの獲得,さらなる選抜および機械学習を用いる解析に成功し,次年度に繋がる研究成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1~2年目の2年間の目標は(1)複数種のExoやウィルスに対するSR-CE選抜法を開発し,Exo,ウィルス,タンパク質および細胞に対するデータをディープラーニングに導入し,選択性が獲得できるかの実証実験を行うこと,(2)人工分子導入型ライブラリーを使った選抜を進めること,の二点であった。 (1)に関しては複数種のExoに対して選択的なアプタマーの獲得に成功し,引き続き,機械学習を用いるウィルスやタンパク質に対する選択的アプタマーの判別の検証実験に入っており,当初の計画通りに順調に進捗している。(2)についてもナフタレン,シクロデキストリン,フルオロベンゼン,プロピルアミン修飾プライマーを導入したライブラリーを用いた選抜をタンパク質(VEGF)に対して行い,配列決定および機械学習(ディープラーニング,クラスタリング)を実施済みである。以上のように本課題は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
3年目である今年度は以下の研究を中心に進める。(1)細菌類やウィルスの選抜プールに対し,ディープラーニングによる結合選択性の判別ができるかを結合実験等により検証する。(2)人工分子導入型ライブラリーを用いたSR-CE選抜結果から得られた配列が従来のアプタマーを超える性能を有するかを検証する。また,どのような官能基を天然型DNAライブラリーに導入することが有効であるかも検証する。(3)上記で得たタンパク質,細菌類,ウィルス等の10を超える選抜プールがディープラーニングによって判別可能な特徴量を有する配列の集合体であるかを検証する。この際,ディープラーニングやクラスタリングのプログラムのアルゴリズムも書き換えて改良する。(3)については3~4年目の2年間に渡って検証する予定である。
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