研究課題/領域番号 |
23K23387
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補助金の研究課題番号 |
22H02119 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
勝又 英之 三重大学, 工学研究科, 准教授 (10335143)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | グラファイト状窒化炭素 / バンドエンジニアリング / 水分解 / 可視光応答 / Z-スキーム |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者はこれまでに、炭素と窒素のみで構成されているグラファイト状窒化炭素(g-C3N4)光触媒の骨格構造を精密に制御することにより、可視光下における光触媒活性が向上し、有効利用波長の改善とバンド構造のチューニングに成功している。そこで本研究では、研究代表者が見出したバンドエンジニアリング法を駆使し、水素および酸素生成用g-C3N4を最適化することにより、太陽光有効利用可能な水の完全分解系を構築することを目的とする。異なるバンド構造を持つ同種光触媒の組合せにより、革新的な可視光応答活性の発現をねらい、次世代の水完全分解材料に対する設計指針への寄与を目指す。
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研究実績の概要 |
炭素および窒素等のユビキタス元素からなる有機光触媒は、環境および資源に配慮した材料として注目されている。本研究では、水素および酸素生成のためのg-C3N4を異なるバンドエンジニアリング法を用いて、それぞれ合成し、価電子帯および伝導帯の電位が水素生成・酸素生成に最適な位置に制御された2種類のg-C3N4を用いる電子メディエーターを介したZ-スキームによる水の高効率完全分解系を構築することを目的とする。 本年度は、尿素を原料とし検討を行った。芳香環の前駆体として1,3,5-ヒドロキシベンゼンとさらに黒リンを混合し、BP/A-CNを合成した。その水素生成速度は、g-C3N4と比較して約4倍の水素生成活性の向上に成功した。XRD、FT-IR、XPSの解析結果より、BP/A-CNはg-C3N4基本骨格を維持したまま芳香環と黒リンが修飾されたことを確認した。g-C3N4と比較して、BP/A-CNの光吸収強度は、400-700 nmの全領域で増加し、全スペクトルの光を利用可能とすることに成功した。さらにバンドギャップエネルギーは、2.96 eVから2.29 eVへ変化した。PLの結果より、g-C3N4は460 nmで強い発光ピークを示したが、BP/A-CNではピーク強度は大幅に減少した。また、EISの結果より、BP/A-CNの電荷移動の抵抗はg-C3N4よりも小さいことが明らかとなった。これらのことから、本研究における光触媒活性の向上は、g-C3N4へのBP/芳香環修飾が光吸収領域の拡大、電子正孔対の再結合の抑制、電荷分離と移動を促進する働きを担うことが主な要因であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、黒リン担持ベンゼン環導入g-C3N4光触媒の合成法を確立し、その光触媒水素生成活性評価と量子収率測定として、トリエタノールアミンを犠牲剤とした水の半分解による水素生成により検討を行った。その結果、ベンゼン環の前駆体や導入方法によって、水素生成活性が大幅に異なることが明らかとなった。また、黒リン担持により吸収できる波長は大きく広がり、700 nm以上の光まで吸収可能となった。このことは、当初の予定通りであり、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
黒リン担持により吸収できる波長は大きく広がったが、600 nmの光照射において水素は生成せず、600 nmにおける見かけの量子収率15%の目標を達成できなかった。そこで本年度は、ベンゼン環の前駆体を数多く検討し最も適切な化合物を決定する。
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