研究課題/領域番号 |
23K23393
|
補助金の研究課題番号 |
22H02125 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
浅子 壮美 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (80737289)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
|
キーワード | 有機ナトリウム / 金属ナトリウム分散体 / モリブデン / カルボニル化合物 / カルベン / クロスカップリング反応 / 脱酸素 / シクロプロパン |
研究開始時の研究の概要 |
地球上の限りある資源を有効活用する技術の開発は、持続可能な社会の構築に欠かせない。本研究では、豊富な資源でありながらこれまで固定観念や反応性制御の困難さのために発展途上にあったモリブデンとナトリウムの化学の開拓を通して、入手容易な化合物を用いたサステイナブル有機合成法の開発を目指す。具体的には、モリブデン触媒を用いて安定化合物からカルベン種を発生させる革新的手法を開発するとともに、ナトリウム分散体を活用することで、1世紀にわたり有機化学において支配的な有機リチウム化学への依存からの脱却を目指す。
|
研究実績の概要 |
地球上の限りある資源を有効活用する技術の開発は、持続可能な社会を構築するために重要である。本研究では、資源豊富でありながらこれまで固定観念や反応性制御の困難さのために発展途上にあったモリブデンとナトリウムの化学の開拓を通して、豊富で入手容易な資源を用いたサステイナブル有機合成法の開発を目指す。[1]モリブデン化学の開拓:本年度は、DFT計算を用いて電子的・立体的に摂動を加えたさまざまなキノン配位子を網羅的に検討し、炭素-酸素二重結合切断段階に有効であると期待されるキノン誘導体を設計、合成した。また、有機マグネシウム反応剤を用いて系中調製したモリブデン活性種による炭素-塩素結合および炭素-フッ素結合の切断を経る二量化反応に関する研究成果を学術論文として報告した。[2]有機ナトリウム化学の開拓:地球上に広く豊富に存在し安価なナトリウムは、資源偏在や価格高騰のリスクを抱えるリチウムの代替として魅力的である。本研究では、金属ナトリウム分散体を活用することで有機ナトリウム化学にブレークスルーを起こし、1世紀近くにわたり有機化学において支配的であった有機リチウム化学への依存からの脱却を目指す。本年度は、鉄触媒を用いる有機ナトリウムのホモカップリング(C(sp2)-C(sp2))およびクロスカップリング反応(C(sp2)-C(sp3))について、反応条件最適化および基質一般性調査を完了した。また、共同研究を通して鍵となる鉄中間体の単離に成功しその反応性を調査するとともに、触媒反応の機構に関する知見をいくつか得た。以前に報告した有機ナトリウムのクロスカップリング反応には希少で毒性のあるパラジウム触媒が必要であったが、豊富・安価・低毒性な普遍金属の代表格である鉄の触媒利用を達成した点で重要な成果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炭素-酸素二重結合切断に有効なモリブデン/キノン触媒に関する知見が得られた。また、モリブデン触媒による炭素-塩素結合および炭素-フッ素結合切断反応に関する論文が受理された。鉄触媒による有機ナトリウムのクロスカップリングおよびホモカップリング反応を開発し、豊富な資源を触媒および反応剤として用いた有機合成を達成した。反応条件最適化、基質適用範囲調査、鍵中間体の単離および構造決定を終え、現在論文にまとめている。
|
今後の研究の推進方策 |
モリブデン化学について、引き続き炭素-酸素二重結合切断を加速する新規キノン配位子の設計・合成、および多環芳香族炭化水素化合物合成への応用を検討する。触媒・基質設計および反応機構解明のため、鍵となるカルベン錯体の観測・単離に取組むとともに、実験と併行して量子化学計算も駆使する。鉄触媒による有機ナトリウムカップリング反応については研究をとりまとめ、C(sp2)-C(sp2)やC(sp2)-C(sp3)以外の結合形成反応への展開を試みる。また、有機ナトリウム化合物と鉄以外の普遍金属触媒を組み合わせたカップリング反応の開発にも挑む。有機ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛等の有機金属化合物と普遍金属触媒によるクロスカップリングやC-H結合活性化反応の開発を通してこれまで蓄積してきた知見をもとに、配位子、添加剤、溶媒、反応温度、混合条件などを精査する。
|