研究課題/領域番号 |
23K23397
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補助金の研究課題番号 |
22H02129 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高坂 泰弘 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90609695)
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研究分担者 |
赤江 要祐 信州大学, 繊維学部, 日本学術振興会特別研究員 (40837415)
川谷 諒 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (50911947)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | ケミカルリサイクル / 高分子分解 / 主鎖切断反応 / 環状ビニルモノマー / 解重合 / ラジカル重合 / 開環重合 / 共役置換反応 / カチオン重合 |
研究開始時の研究の概要 |
プラスチックごみの削減を図る上で,高分子材料を分子レベルで分解し,原料物質を再生,プラスチックを再合成するケミカルリサイクルが期待されています.本研究では,従来困難とされてきたビニル系プラスチックのケミカルリサイクルを,新しい戦略で設計した原料を使用して目指します.同時に,1つの原料からビニル系プラスチックとポリエステルという,異なる性質のプラスチックを誘導し,さらにこれらを同一原料に再生する技術の開発も行います.学術的な基礎研究であることから,資源循環を念頭にした新しい原料を積極的に採用し,高分子材料の化学構造を根本から見直すことを提起します.
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研究実績の概要 |
本課題は環状ビニルモノマーに焦点を当て,循環型ポリマーの創製を目指した研究である.2022年度は,まず3-メチレンフタリドおよびその類縁体について検討した.ラジカル重合で生成したビニルポリマーは,塩基加水分解により対応するモノマー原料を与えた.このときの分解挙動から,解重合が2つの機構で生じていることが予測された.この予測は,カチオン重合で合成したビニルポリマーの分解挙動の解析からも支持された.また,芳香環上にペンダント基を導入した種々のビニルポリマーを合成し,それらの単独重合/共重合により,溶解性が大きく異なるビニルポリマーを誘導できること,それらの加水分解により同一の原料を再生できることを見出した.ただし,この際に生じた分解物からのモノマー再生には課題を残した.具体的には,カルボキシ基で置換した芳香環を持つ3-メチレンフタリド誘導体では,分解物からのモノマー再生が従来法では困難なことがわかった.この原因は分子内環化反応の反応機構と密接に関係しており,置換基の再設計で克服できると予想している.一方,3-メチレンフタリドのカチオン重合では,開環重合が予測された条件でも,ビニル重合のみが選択的に生じた.計算化学による解析の結果,同モノマーは構造的に開環重合が困難であることが予測された. 環状アリールアクリレートを用いた検討では,当該モノマーのラジカル重合性が確認される一方で,モノマーがきわめて不安定で,通常条件では取り扱い困難であることが見出された.環状アクリレートの開環重合に関する研究では,当初予定していたモノマー群の開環重合性が乏しく,可逆過程になることが見出された.環歪みを増した新モノマーを設計し,当該モノマーの合成を達成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3-メチレンフタリド誘導体の研究では,予定していた開環重合が困難であることが明らかになった一方で,ビニル重合については3カ年計画のほぼ全てを完遂した.しかしながら,共重合体分解物からのモノマー再生に課題が見つかったため,次年度以降も継続検討する. 環状アリールアクリレートが不安定である可能性は当初から予想しており,代替モノマーへの移行も想定通りである.環状アクリレートの開環重合は,重合法の確立には至らなかったが,予定していたモノマー全てで重合を検討し,さらに次善策として新モノマーの合成も完了したため,順調に進捗したと評価した.
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今後の研究の推進方策 |
3-メチレンフタリド誘導体の研究ではすべてのマイルストーンを達成したため,次年度はその周辺領域を体系的に調査し,学術論文として成果発表できる形を整える.特に,カルボキシ基を置換した芳香環をもつ3-メチレンフタリド誘導体はポリマーの分解が速い一方で,モノマー再生に課題が見つかったため,再生可能性を念頭にモノマーの再設計を行う.開環重合については困難な状況だが,この過程でカチオン重合を初めとする新重合法が発見されたため,これらを利用した精密重合に展開する.これにより,ビニルポリマーの分解課程のメカニズムを明らかにする.環状アリールアクリレートについては,類似構造を持つ種々の環状モノマーに代替し,ラジカル重合と分解反応の検討を続ける.環状アクリレートの共役置換反応を利用した開環重合については,初年度に開発した新モノマーをスケールアップ合成し,重合検討を始める.
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