研究課題/領域番号 |
23K23409
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補助金の研究課題番号 |
22H02141 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
三輪 洋平 岐阜大学, 工学部, 教授 (10635692)
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研究分担者 |
宇田川 太郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70509356)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | 自己修復 / エラストマー / フッ素 / 架橋 / ポリアクリル酸メチル / ポリアクリル酸エチル / ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
柔軟なポリマーの架橋体であるエラストマーに、生物の皮膚同様の自己修復や新陳代謝などの機能を付与することができれば、製品の美しい外観の維持と長寿命化、製品を使用する上での安全・安心の担保、生産・廃棄サイクルの長期化による生産資源とエネルギーの節約などが期待できる。そこで、優れた力学強度をもつにもかかわらず、室温で自発的、かつ迅速に自己修復するエラストマーを実現するために、フッ素成分の相分離を利用して動的に架橋したエラストマーの超高速自己修復メカニズムの解明と構造最適化をおこなう。また、このエラストマーのブロック共重合体化などによる物性の補完と性能向上について研究する。
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研究実績の概要 |
自己修復性ポリマー材料の設計における大きな目標のひとつは、力学強度と自己修復速度の両立である。しかしながら、一般的にはこれらの特性は二律背反の関係にあり、その両立は容易ではない。本研究では、この課題の解決をめざし、アクリル酸メチルとアクリル酸エチルのランダム共重合体(PEMA)に対してごく少量のフッ化アルキル側鎖を導入したところ、比較的高い力学強度を持つ一方で、きわめて優れた自己修復性をしめすエラストマーが得られることを見出した。このエラストマーでは、フッ化アルキル側鎖がミクロ相分離して球状のナノドメインを形成する結果、ポリマーが物理的に架橋される。このフッ素成分によって架橋されたエラストマーは、比較的高い力学強度を持つにもかかわらず、きわめて迅速な自己修復性を示す。具体的には、試料片を切断したとしても、切断面どうしを接触させた瞬間に500グラム以上の荷重を支えることができるほど強力に接合する。さらに15分以内には切断前の力学強度を回復することがわかった。これは、PEMAが粘着剤などにも使用されるほどに凝集力の高いポリマーであることに起因する。一方で、表面自由エネルギーの低いフッ化アルキル側鎖の偏析によって、極めて粘着性の低い表面を持つことについても明らかにした。すわわち、このエラストマーでは、PEMA成分が表面にあらわれる切断面のみで接合が選択的に起こる。これは、エラストマーどうしの接着の抑制に効果があり、実用的な観点から、きわめて有用な特性であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はフッ化アルキルの偏析を利用して動的に架橋したエラストマーを開発し、その成果を論文発表することができた。当初予定していた成果を得ることができたことから、順調に研究は進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
アクリル酸エチルとアクリル酸メチルのランダム共重合体に少量のフッ化アルキル側鎖を導入したエラストマーに関して、その力学強度の向上を目指し、その末端に室温でガラス状ポリマーであるポリスチレン(PS)を結合したブロック共重合体を合成する。このブロック共重合体の力学特性と自己修復挙動についての研究をすすめる。まず、当初の狙い通りに、PS成分の導入は材料を力学的に補強する一方で、自己修復速度を損なわないかどうかについての検証をすすめる。さらに、分子量や組成の異なったブロック共重合体を数種類合成し、それらの比較によって、材料の力学強度の向上と、自己修復速度の両立のために最適な分子量や組成の探索をおこなう。 また、フッ化アルキル側鎖の代わりに長鎖アルキル側鎖を導入したアクリルポリマーを合成し、その力学特性と自己修復性について評価する。本研究のエラストマーでは、フッ化アルキル側鎖のミクロ相分離を利用して架橋構造を形成させる。そのため、例えば長鎖アルキル側鎖などを用いれば、フッ化アルキル側鎖でなく、アルキル側鎖であっても同様の機能が得られる可能性が考えられる。フッ化アルキル側鎖からアルキル側鎖への置換は、実用化を考えた場合には、大きなインパクトが期待されることから、この検討を行う。
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