研究課題/領域番号 |
23K23420
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補助金の研究課題番号 |
22H02152 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷川 靖哉 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80324797)
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研究分担者 |
庄司 淳 奈良女子大学, 工学系, 助教 (80779075)
北川 裕一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90740093)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 希土類 / 発光 / 粒子 / 配位高分子 / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の推進により、Eu(III)配位粒子の結晶構造が発光寿命に影響を与えると考えられる。 この特徴的な光物理現象の詳細は、界面活性剤の種類、反応時間、界面活性剤とEu(III)配位粒子の比率などの合成条件に関する将来の研究を進めることが重要であることがわかった。この視点から、Eu(III)配位粒子を合成するための条件検討をさらに進める。 さらに、合成されたバルクのEu(III)配位高分子をトリブチルホスフィンオキシド(tbpo)中で加熱反応することで結晶サイズの減少(クリスタルカット)を行う。得られたEu(III)配位高分子の粒子構造および表面構造制御による光物性との相関検討を行う。
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研究実績の概要 |
新しい有機機能材料の創成を目的として、ミセル反応場を用いた希土類配位ナノ粒子の階層制御と機能材料化を研究目標とする。具体的には、界面活性剤による希土類配位ナノ粒子(希土類イオン=Eu(III), Tb(III), Yb(III), Nd(III), Sm(III))のサイズ制御および追加配位子による表面構造制御を行い、希土類から構成される光機能ナノ材料開拓を行う。 22年度では、強発光発光を目的とした赤色発光Eu(III)配位ナノ粒子の合成を検討した。高発光量子効率のための非対称化(kr 増大)と低振動化(knr 減少)を行うため、この配位部位にhfa配位子(hexafluoroacetylacetonate)と二座型ホスフィンオキシドをミセル反応場内で組み合わせたEu(III)配位ナノ高分子のナノ粒子化を行った。まず、カチオン界面活性剤(Tri-methyl(alkyl)ammonium bromide)を用いて赤色強発光 [Eu(hfa)3(H2O)2]を含む発光ミセル水溶液を調製し、ミセル形成のための界面活性剤および発光錯体の最適濃度は光散乱(DLS)および臨界ミセル濃度(CMC)測定によって決定した。同様にリンカー配位子(二座型ホスフィンオキシド)を含む連結ミセル水溶液も調製し、2つの水溶液を混合することで混合ミセル反応場の形成を行った。 ミセル中の希土類配位ナノ粒子はDLSおよびXRD測定によって評価し、走査型電子顕微鏡(SEM)測定によりナノ粒子の合成に成功していることがわかった。さらに、界面活性剤の混合濃度比を変化させることでナノ粒子の粒子サイズを変化することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を組み合わせたミセル内反応を行うことで、Eu(III)配位高分子のナノ粒子化に成功した。また、そのナノ粒子のサイズは界面活性剤の濃度によって制御(変化)できることが明らかになった。 希土類錯体を含むミセルの形成に関しては昨年購入した表面張力測定装置によって臨界ミセル濃度を算出することもできた。また、ミセルの大きさの評価は光散乱測定(DLS測定)だけでなく、走査型電子顕微鏡測定(SEM測定)による観察にも成功した。 以上のことから、Eu(III)配位高分子のナノ粒子化と粒子サイズ制御に成功し、そのナノ粒子の評価もできることを明らかにした。得られたEu(III)配位ナノ粒子は高い発光量子効率を示し、ナノ粒子表面にキラル分子を取り付けることでEu(III)の発光機能が変化(円偏光発光機能を発現)することも事前実験により明らかになった。このことから、22年度の研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
希土類配位ナノ粒子の表面機能化および機能化を行う。具体的には、アニオン界面活性剤を用いて特殊官能基を導入した単座および二座型配位子(ホスフィンオキシドおよびピリジン誘導体)を合成し、アニオン界面活性剤(SDS)でミセル化した後に希土類配位ナノ粒子の混合ミセルと融合することで、以下の2つの巨大分子による表面機能化を検討する。 表面機能1:巨大キラル導入:生体系巨大分子とハイブリッド可能な配位子を合成し、粒子表面のキラル機能化を行う。具体的には、アミノ酸やタンパク質に結合可能なアミドおよびスクシンイミド基を導入する。さらに、DNAに挿入可能なイミダゾール類縁体の導入も行い、水溶液中でDNAと複合化できる希土類配位高分子を検討する。得られたナノ粒子の円二色性スペクトルおよび円偏光発光スペクトルを用いてキラル構造を明らかにする。巨大キラル分子連結による円偏光発光効率と異方性因子の影響を解明する。 表面機能2:巨大π共役導入:Eu(III)配位ナノ粒子の発光増強を行うため、配位高分子内には導入困難な縮環型の巨大π共役分子(を有する配位子を合成し、ナノ粒子表面に固定化する。得られたナノ粒子の発光量子効率を算出し、積分球による配位子励起の発光量子効率を計測して光増感エネルギー移動効果を明らかにする。
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