研究課題/領域番号 |
23K23426
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補助金の研究課題番号 |
22H02158 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内田 幸明 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (60559558)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 液晶 / 有機ラジカル / ラジカル-三重項対機構 / 光磁気効果 / スピン注入 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、最速の情報伝送が可能な光を用いて、電子スピンの情報を変換するスピンフォトニクスが注目を集めている。電子スピンは電荷よりも遥かに小さいエネルギーで情報を保持することが特徴である。研究代表者は、フレキシブルなスピンフォトニクスデバイスの基盤として、光によるスピン情報の入力を可能にする液晶材料の開発を進めている。本研究では、研究代表者が提唱する遍歴分子仮説に基づいて、液晶性の有機ラジカル化合物の設計を行い、光による室温付近での磁気秩序化を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究では、遍歴分子仮説に基づいて、液晶性の有機ラジカル化合物の設計を行い、室温付近での磁気秩序化を実現することを目的としている。本年度は、有機ラジカル部位と三重項励起色素部位を分子内に共存させた化合物のラジカル-三重項対機構による光磁気効果を利用する戦略について、検討を行った。 前年度に行った、ジフェニルPROXYLと、液晶性化合物と親和性の高い形状を持つベンジルを含む化合物の合成を行ったが、本年度は、前年度に委託合成を行った中間体を用いて、追加合成を達成した。 次に、合成した分子内スピン注入を起こす液晶を反磁性液体に溶解してガラスセルに注入し、ERP 分光法を用いて、液晶中で起こる分子内スピン注入を検出した。その際、磁化率の上昇率や上昇した磁化率の緩和時間の濃度依存性を解析することで、NR部位に移ったスピン偏極の緩和時間を見積もった。 また、液晶滴中のレーザー発振が励起光照射位置によってスイッチングすることを見出した(雑誌論文として出版済み)。ネマチック液晶中ではランダムレーザー発振とWGMレーザー発振が起こることが知られており、それらがエネルギーを取り合うことが予想されていた。本研究では、励起光照射位置により、これらの2つのレーザー発振の強度比が変化することがわかり、予想が正しいことを確かめた。今後、液晶中の光照射におけるエネルギー分配に関して、本研究で目指す液晶の磁気秩序化の手段の検討にも重要な示唆を与えるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた合成がスムーズに進んだ上、別途検討していた液晶中のレーザー発振の検出に関する研究成果の公開を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
次に、合成した分子内スピン注入を起こす液晶を反磁性液晶やNR液晶に溶解してガラスセルに注入し、ERP 分光法を用いて、液晶中で起こるスピン注入を検出する。その際、磁化率の上昇率や上昇した磁化率の緩和時間の濃度依存性を解析することで、NR部位に移ったスピン偏極の緩和時間と、分子の遍歴性によるスピン偏極の緩和時間を見積もる。また、光誘起磁気秩序化が起こる条件を探る。
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