研究課題/領域番号 |
23K23431
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補助金の研究課題番号 |
22H02163 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
柳 博 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30361794)
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研究分担者 |
有元 圭介 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30345699)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | SnS / TFT / キャリア制御 / 真空蒸着 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではn型化を実現した研究代表者の材料設計仮説をさらに展開することで真性半導体SnS単結晶を実現し、その欠陥抑制メカニズムを解明することで仮説を検証する。さらにこの成果を基に作製したSnS薄膜を用い、研究分担者が中心となってTFTデバイス作製プロセスを検討し高性能pチャンネルTFT、アンバイポーラTFTを実証しSnSを用いた次世代デバイスの作製指針を提言する。これらの成果を通して硫化物半導体の欠陥化学解明にも貢献する。
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研究実績の概要 |
n型SnSのキャリア濃度制御を実現することが大きな課題であった。特にn型においてはClドープを用いるとキャリア濃度が10^17 ~ 10^18 cm^-3と高すぎた。そこでSnI2存在下で単結晶を育成することでキャリア濃度が10^13 cm^-3n型SnS単結晶とキャリア濃度が10^14 cm^-3のp型SnS単結晶を実現した。これはI-はイオン半径が大きいことからS2-サイトには置換されないと考えられること、また電気陰性度が大きいことからSn4-の生成を抑制されることが期待された通り生じたためと考えている。さらにSnCl2とSnI2の混合フラックスを用いることでキャリア濃度の制御を実現した。今回得られた知見をもとにSnS薄膜の物性制御に生かしていく。 昨年度までに決定したトップゲート型素子構造を実現するためにSiO2絶縁膜作成の最適化を行った。製膜にはRFマグネトロンスパッタリング法を採用した。SnS膜質に影響を最小限に抑えるために室温で製膜した。製膜条件の最適化によりリーク電流が充分に低い絶縁膜の作成を実現した。その後フォトリソグラフィ法により素子構造を作成しデバイス評価を行った。リーク電流の抑制はできたもののデバイス特性は充分ではなかった。これはp型SnSの伝導性が高すぎることが考えられる、キャリア濃度の抑制が課題である。n型SnSは実現しているためSnS組成比と適切なドーパントの導入により低キャリア濃度p型SnS薄膜は実現できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度からの課題であったSnS薄膜上に製膜するSiO2絶縁膜の作製手法を確立することができた。RFマグネトロンスパッタリング法を用いて製膜条件を最適化することでSnS層に有意なダメージを与えることなくリーク電流を抑制した絶縁膜を実現した。またこの絶縁膜を用いたトップゲート型の施策を行い、次の課題がSnS半導体層の導電性制御であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度からの課題であったゲート絶縁膜の作製条件の確立ができた。トップゲート型素子を作製したところ、SnS半導体層の導電性のさらなる制御が課題であることが明らかとなった。我々はSnS単結晶において伝導型をp型からn型まで制御する技術を確立しているので、これをSnS製膜に応用することで研究目的の達成を目指す。
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