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金属の溶解析出反応を制御する有機物添加剤の超高感度ラマン分光学解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K23441
補助金の研究課題番号 22H02173 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分36020:エネルギー関連化学
研究機関東北大学

研究代表者

伊藤 隆  東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (40302187)

研究分担者 横山 俊  東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30706809)
前田 敏輝  石巻専修大学, 理工学部, 教授 (80202307)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
キーワードその場ラマン分光法 / 金属の溶解析出反応 / 添加剤
研究開始時の研究の概要

本研究課題では、金属の溶解析出反応を制御する有機物質(添加剤)の動的挙動を超高感度ラマン分光法にて追跡し、有機物添加剤の金属電極への吸着形態や反応過程を解明する。その結果をもとに、添加剤として機能している有機物質を含む電解液中において、金属の溶解析出反応における添加剤の役割および金属の溶解析出反応との関連性を導き出す。金属の溶解析出反応における添加剤の開発に指針を与えるのみならず、金属の溶解析出反応の根源的問題の解決に貢献できうる。金属の溶解析出反応および添加剤の役割に関する統一的な見解を打ち出し、電極界面における金属析出の制御および高性能な電池へと繋げることを目標としている。

研究実績の概要

当該研究課題では、金属の溶解析出反応を制御する有機物質(添加剤)の動的挙動を超高感度ラマン分光法にて追跡し、有機物添加剤の金属電極への吸着形態や反応過程を解明する。その結果をもとに、添加剤として機能している有機物質を含む電解液中において、金属の溶解析出反応における添加剤の役割および金属の溶解析出反応との関連性を導き出す。これは、金属の溶解析出反応における添加剤の開発に指針を与えるのみならず、金属の溶解析出反応の根源的問題の解決に貢献できうる可能性を有している。この研究課題では金属の溶解析出反応および添加剤の役割に関する統一的な見解を打ち出し、電極界面における金属析出の制御および高性能な電池特性へと繋げることを最終目標としている。当該研究課題で着目する電極反応は、ポストリチウム電池である革新型蓄電池に繋がる重要な研究課題と密接に関連しており、今後の電池の研究開発に一石を投じる研究課題である。
本年度までに、亜鉛金属の溶解析出反応における溶解析出反応を制御する有機物質(添加剤)としてテトラエチレンペンタミンが亜鉛のデンドライト形成(樹状形成)を抑制し、亜鉛の析出反応において亜鉛は平滑に析出することを見出している。このテトラエチレンペンタミンを少量含むアルカリ水溶液における電極反応について検討を行っている。特に、表面増強ラマン効果が顕著な銀電極について重点的に電極反応の解析を行なった。添加剤の有無により、銀電極の反応に差異が見られている。このテトラエチレンペンタミンに対し、超高感度ラマン計測を可能とする実験系の準備に取り掛かっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度までに、亜鉛金属の溶解析出反応における溶解析出反応を制御する有機物質(添加剤)としてテトラエチレンペンタミンが亜鉛のデンドライト形成(樹状形成)を抑制し、亜鉛の析出反応において亜鉛は平滑に析出することを見出している。このテトラエチレンペンタミンに対し、超高感度ラマン計測を可能とする実験系の準備に取り掛かっている。
具体的には、現在までに、表面増強ラマン分光における増強効果が顕著な銀電極を用いたテトラエチレンペンタミンを微量含むアルカリ水溶液中におけるサイクリックボルタモグラム測定を行った。アルカリ水溶液中における銀電極の電気化学反応は、貴な電位領域で銀が2段階で酸化反応が進行する。電位を折り返すと、2段階で酸化銀の還元反応が進行する。これらの銀の酸化還元反応の進行する電位より卑な電位領域では、粗な銀電極表面が露出し、水素発生電位付近まで安定した表面増強効果が期待できる銀電極表面が露出する。一方、テトラエチレンペンタミンを微量添加したアルカリ水溶液では、1段階で酸化反応が進行し、その後電位を折り返して卑な方向に電位を走査すると1段階で酸化銀の反応が進行していくことが判明した。テトラエチレンペンタミンが銀の酸化還元反応に何某かの影響を及ぼしていると考えられるが、現在までのところ推測の域を脱していない。このような条件下で超高感度ラマン測定を行うべく、このテトラエチレンペンタミンに対し、超高感度ラマン計測を可能とする実験系の準備に取り掛かっている。

今後の研究の推進方策

今後、電極反応に対応した高速なその場ラマン光学系を構築し、電極界面からのその場ラマンスペクトルの測定を行う。「吸着型」添加剤としてテトラエチレンペンタミンに加え、エチレンジアミンなどのアミノ系化合物やテトラブチルアンモニウム塩、バニリン等をアルカリ溶液に少量溶解し、銀電極の電気化学計測を重点的に行う。このような電気化学条件下において、その場ラマンスペクトルの測定を行う。新規に導入したその場測定用高性能ポテンショスタットを測定系に組み込み、添加剤を含むアルカリ水溶液中における銀電極の電気化学反応の詳細を描きだす。TEPAを含むアルカリ電解液中における銀電極のその場ラマンスペクトルでは、これまでのところ、電極電位に依存したスペクトル変化が観測されている。この種の電解液のラマンスペクトルにおいて、ラマン分光測定の妨げになる有機物添加剤や反応生成物からの蛍光がスペクトルに重畳することも考えられる。この蛍光を避けるために、可視光領域のその場ラマンスペクトルの測定に加え、785nmの長波長、355nmの紫外領域、近赤外光(1064nm)励起を用いたFTラマン分光法を適宜用い、あらゆる手段のラマン分光法を用い目標達成に資する。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Controlled Solvation Structure of a Zn Ion in an Aqueous Electrolyte by Amine Additives for Long Cycle Life of a Large Capacity Zn-Air Rechargeable Battery2023

    • 著者名/発表者名
      Ishihara Tatsumi, Inoishi Yuiko, Kim Sun, Staykov Aleksandar, Watanabe Motonori, Naohara Nao, Takahashi Kimiko, Itoh Takashi
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry C

      巻: 127 号: 14 ページ: 6619-6628

    • DOI

      10.1021/acs.jpcc.2c08682

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] アミン系添加剤を含む電解液における亜鉛負極のデンドライト抑制効果2023

    • 著者名/発表者名
      荻原 由佳, 髙橋 貴美子, 伊藤 隆
    • 学会等名
      第64回電池討論会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 亜鉛負極への界面活性剤添加によるシェイプチェンジの抑制効果2023

    • 著者名/発表者名
      大沼孟光, 伊藤 隆, 森田 昌行, 安部 武志
    • 学会等名
      第64回電池討論会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 亜鉛負極におけるアミン系添加剤によるデンドライト抑制効果2023

    • 著者名/発表者名
      荻原 由佳, 髙橋 貴美子, 伊藤 隆
    • 学会等名
      2023電気化学秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] In Situ Raman Analysis for High Capacity Zinc Anode in Alkaline Solutions (Keynote Lecture)2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Itoh
    • 学会等名
      7th International Conference on Functional Materials and Devices (ICFMD2022)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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