研究課題/領域番号 |
23K23446
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補助金の研究課題番号 |
22H02178 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本山 宗主 九州大学, エネルギー研究教育機構, 准教授 (30705752)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | Li金属 / 界面の親和性 / 電荷移動抵抗 / 固体電解質の還元分解 / 界面の化学状態 / リン酸リチウムオキシナイトライド / 接触角 / 酸化物系固体電解質 / 短絡 / 臨界電流密度 / 親和性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題で用いる“固体電解質(SE)”という言葉は、「Liイオン(Li+)が伝導する固体の無機化合物」を指す。本研究では、Li金属とSEから成る固固界面の「Li = Li+ + e- の反応のエネルギー障壁の高さ」、「界面の親和性」、「SEの耐還元性」の三つの性質の相関を原子・分子スケールの視点から理解する。実験には、Li2S-P2S5系ガラス電解質、アルジロダイト型Li6PS5ClなどのSEを用い、Li金属との界面に対し、高真空下での接触角測定などを行う。最終的に、Li金属とSEの界面の特徴を記述できる指標・変数を見出し、a priori な(経験に先立つ)界面設計の指針を構築する。
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研究実績の概要 |
Liは反応性が高いため、乾燥Arを充填し、露点を-80 °C以下、酸素値を1 ppm未満に維持したグローブボックス内であっても、加熱融解させるとグローブボックス内に存在する微量のO2、CO2、N2と反応し、表面に被膜を形成する。そのため、Liと固体電解質の間の接触角を正確に測定するためには、高真空下でLiを加熱融解させる必要がある。そこで、グローブボックス内の蒸着装置を利用し、高真空下で融解したLiが固体電解質表面に濡れ広がる様子を側面から観察できる接触角計測システムの構築に取り組んだ。まず、真空下の蒸着装置内にリード線を導入するためのチャンバーを自作した。自作チャンバーを取り付けた状態で、チャンバー内の真空度が、ターボ分子ポンプで10-3 Pa以下にまで到達することを確認した。また、自作チャンバーにはビューポートを取り付け、Li箔が融解する過程をチャンバーの外から動画撮影できるよう設計した。 また、真鍮板の上にセラミックヒーターを設置し、Li箔を加熱する機構を構築した。セラミックヒーターに繋がるリード線は、自作チャンバーの壁を介し、チャンバーの外から導入した。真鍮板の上には熱電対を取り付けた。熱電対はセラミックヒーターからの距離が試料と等距離となるように配置した。Liとの接触角を測定する固体電解質試料にはリン酸リチウムオキシナイトライドガラス(LiPON)薄膜を採用した。LiPONを成膜する基板にはLiが固溶しないタングステン(W)を用いた。セラミックヒーターで真鍮板を加熱しながら熱電対で真鍮板の温度を逐次計測し、真鍮板が181 °C付近に達したときW基板上に載せたLi箔が融解し始めることを確認した。 また、 LiPONの組成を変えて成膜する手法(N/P比が0.2から0.4の範囲内 、N/O比が0.05から0.15の範囲内)を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
九州大学に2022年4月着任後、実験装置の立ち上げなどに時間を要したため、すぐには研究に着手できなかった。そのときに生じた遅れを挽回できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに独自の接触角計測システムを構築した。また、組成を変えてLiPONを成膜する手法も確立した。次年度からは、LiPON薄膜表面のLiの接触角を計測し、LiPONの組成が接触角に及ぼす影響を調べる。また、組成が異なるLiPONの還元耐性、Li/LiPON界面の電荷移動抵抗を評価し、親和性、耐還元性、電荷移動抵抗の相互の関係性を明らかにしていく。
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