研究課題/領域番号 |
23K23453
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補助金の研究課題番号 |
22H02186 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 東京大学 (2024) 東京理科大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
倉持 悠輔 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (30457155)
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研究分担者 |
山口 友一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 講師 (30843122)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 二酸化炭素還元 / 金属錯体 / ポルフィリン / 光反応 / 半導体光触媒 / レニウム錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、天然の光合成で光捕集に関わるクロロフィルに類似した構造を有するポルフィリンを光増感剤とする超分子光触媒を使い、可視光吸収能力を高めた光触媒的CO2還元分子システムの実現を目指す。半導体電極と組合わせ、水を電子源とする光反応系の構築にも挑戦し、環境問題と資源枯渇の問題を一挙に解決可能な革新的CO2還元固定システムの創成へとつなげる。
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研究実績の概要 |
昨年度までに、光増感剤として相補的配位イミダゾリルポルフィリンダイマーを用い、ここにフェニレン架橋部位を介して二酸化炭素還元触媒であるRe錯体を結合させることで、光化学的二酸化炭素還元反応を駆動できることを報告した。この系では、光励起後に分子内電荷分離反応を伴うことで、光吸収を阻害する中間種が生成しないため光照射光量にかかわらず一定の反応効率を示すが、その一方でその反応量子収率は2%にとどまっていた。 昨年度および本年度において、ZnポルフィリンとRe錯体との結合位置をビピリジンの5位を介して直接結合させたものが、トリエタノールアミンがZnポルフィリンとRe錯体の両方にキレート的に配位することで反応活性が向上することが分かった。この系では、長寿命な励起三重項状態を介して電子源から電子を受け取るため、光吸収を阻害する還元種が蓄積する傾向があった。そのため光照射光量に活性が大きく依存するが、太陽光と同様な希薄な光量の際に、その反応量子収率が24%までに達することが分かった。この高い効率は、長寿命の励起三重項状態があまねく電子源と衝突して電子移動できることに起因する(Chem.Sci.に報告)。一方で、各ユニットの酸化還元電位を考えると本系でも分子内電荷分離を引き起こす可能性があるが、ポルフィリンとRe錯体を直結させることで分子内電荷分離を抑制している可能性があることが分かってきた。 本年度ではさらに、相補的配位イミダゾリルポルフィリンダイマーとRe錯体を直結させた系も合成して、時間分解分光測定を行ったところ、直結させることで分子内電荷分離を伴わずに励起三重項状態を形成することが分かり、また光触媒的二酸化炭素還元反応においても反応量子収率が2%から10%近くまで向上することが確認された。また半導体光触媒への担持を行うため、イミダゾリルポルフィリンへのリン酸導入にも試みこれに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ZnポルフィリンとRe錯体の位置関係と触媒活性の関係を調査していく中で、これまでZnポルフィリンとRe錯体を直結させることは電子移動を促進してポルフィリン上の電子蓄積による分解を防ぐためであると考えてきたが、それに加えて、励起エネルギーの逆電子移動失活を誘起する分子内電荷分離反応も抑制することが分かってきた。実際に相補的配位ダイマーとRe錯体との結合距離を直結してみたところ、時間分解分光測定(蛍光寿命、過渡吸収)からその反応機構は劇的に変化することが分かり、反応量子収率も5倍ほど向上することが分かった。 さらに、昨年度まで半導体光触媒に強く結合できるリン酸基修飾したZnポルフィリン=Re錯体二元系を合成してきたが、本年度では、イミダゾリルポルフィリンにリン酸基を導入したポルフィリンを新規に合成することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
1)昨年度までに、リン酸基修飾したZnポルフィリン=Reビピリジン錯体二元系の合成と光触媒上への担持に成功したが、水を電子源とする光触媒的二酸化炭素還元反応には成功しなかった。この要因として、Znポルフィリン=Reビピリジン錯体二元系の反応にはトリエタノールアミンによるRe錯体上でのCO2捕捉と還元触媒反応促進が必須であり、耐久性も非常に低下することが分かってきた。本系では水中で反応を行うために過剰量のトリエタノールアミンの添加は行うことができない。そこで、トリエタノールアミンが強固に1:1で光触媒に結合する系を開発して、過剰量のトリエタノールアミンの添加が不要とする。具体的にはポルフィリンの中心部位を介してキレート的にトリエタノールアミンがRe上に配位できることを利用して、ポルフィリンの中心金属をトリエタノールアミンと共有結合的に結合できる金属種を種々導入して反応を行っていく。これを用いて半導体光触媒上に導入し、水を電子源とする光触媒反応を実施していく。 2)リン酸を導入したイミダゾリルポルフィリンをして、半導体光触媒上に相補的配位イミダゾリルポルフィリンダイマーを導入していく。その際に反応機構が全く異なると予想されるRe連結部位との結合にフェニレン架橋を介するまたは直結系を用いて、半導体光触媒上の活性挙動を調査していく。
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