研究課題/領域番号 |
23K23472
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補助金の研究課題番号 |
22H02205 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
奥村 正樹 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (50635810)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 相分離 / LLPS / 酸化的フォールディング / 小胞体 / 化学制御 / 液滴 / レドックス / 溶液構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
小胞体内酵素・シャペロンであるProtein Disulfide Isomerase (PDI) familyのひとつが相分離する現象を発見し、レドックス制御を受けることを発見した。本課題では小胞体を更に区画化する機序を探求し、世界に先駆けて小胞体内液液相分離の学理を構築する。さらにチオール含有のレドックス低分子化合物によって細胞内の小胞体内液液相分離の化学制御を目指し、細胞内タンパク質品質管理の革新的な技法を提示する。 本課題の達成は小胞体内の新生タンパク質フォールディングに対し、どのようにレドックスという化学パラメータの情報を相分離現象に伝達しているのかという機序の解明に繋がる。
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研究実績の概要 |
これまでin vitroの実験結果から、天然変性領域を持たない小胞体局在シャペロンが相分離することを示しており、本年度は細胞内構造解析を目指す条件検討を、U2OS細胞を用いて行った。U2OS細胞を用いて、安定発現株の作成に成功した。小胞体内相分離の生理学的意義を追求するため、U2OS細胞を用いて、免疫沈降法を用いて検証した結果、細胞内fociを確認することが出来た。現在、クライオ電顕トモグラフィー(cryoET)の条件検索を行っており、世界に先駆けて、小胞体内の新たな区画の可視化に挑戦している。 小胞体局在シャペロンの相分離が特定の基質・シャペロンを濃縮するかどうかを蛍光ラベル化を施し、蛍光顕微鏡およびホログラフィック顕微鏡で検証した。その結果、幾種かのシャペロン、基質の濃縮の可視化に成功し、濃縮における選択性を示すことが出来た。その結果、本化学的触媒反応場に取り込まれる因子を同定し、本反応場内の屈折率の変化を追うことが可能となった。特定の因子を取り込んだ本液滴は、基質であるプロインスリンの凝集を抑制し、酸化的フォールディングを触媒するスーパーエンハンサーとしての化学触媒反応場であることを突き止めた。今後論文化を目指す。 さらに、小胞体内相分離を形成するシャペロンは酸化還元触媒活性を保有するため、化合物による本相分離の制御が可能になると考えられる。そこで、汎用的に使用されるグルタチオンに替わる幾種かの新規チオール化合物を開発し、幅広くシャペロンの活性を増強することを突き止め、現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に比べ、1. 細胞内fociの評価、2. 細胞内構造解析への着手、3. 機能評価において、どれも格段の進展がみられ、現在論文を投稿準備中であることからも当初の計画以上に進展している。 また、4. 酸化還元依存的に相分離現象の制御も示しつつあり、5. その制御因子である新規化合物の開発も進んでおり、当初の計画以上に進展しているを選定した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、小胞体内相分離の生命現象を世界に先駆けて証明するために、クライオ電顕トモグラフィー(cryoET)による小胞体内の可視化が重要な課題である。既に、ターゲット因子の安定発現細胞の作製に成功しており、今後測定条件を最適化し、cryoETによる小胞体内の可視化に挑戦する。 機能評価として、試験管内実験から、本液滴は、基質であるプロインスリンの凝集を抑制し、酸化的フォールディングを触媒するスーパーエンハンサーとしての化学触媒反応場であることを突き止めた。今後リバイスのことを考慮し、細胞内での機能評価の検証を進める必要がある。すなわち、本因子の過剰発現などにより、インスリン分泌量の変化を検証する必要がある。 さらに新規チオール化合物の開発が進んでいるが、本相分離現象への影響を今後in vitroで見積もり、最終的に細胞内評価する必要がある。
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