• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

細胞膜で多彩に機能する有機化合物の合成化学的開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K23478
補助金の研究課題番号 22H02211 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分37020:生物分子化学関連
研究機関横浜市立大学

研究代表者

及川 雅人  横浜市立大学, 理学部, 教授 (70273571)

研究分担者 酒井 隆一  北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (20265721)
池上 貴久  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (20283939)
入江 樂  横浜市立大学, 理学部, 助教 (50835238)
松永 智子  函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (70533412)
塚野 千尋  京都大学, 農学研究科, 教授 (70524255)
入江 一浩  京都大学, 農学研究科, 教授 (00168535)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
キーワードポリアミン / ペプチド / ドラッグデリバリーシステム / ミミック / 化学合成 / シナプス受容体モジュレーター / シナプス受容体のモジュレーター
研究開始時の研究の概要

本研究では、LCPAを含む特異なN末端アミノ酸であるprotoaculeine B (pACU-B) とその類縁体、ならびにAcuPepの各種類縁体を合成し、それらを様々な組み合わせで連結した一連のACU類縁体の構造活性相関を調べる。さらに化学プローブにより細胞内の挙動を解析することでACUの物質送達機構の解明を目指す。

研究実績の概要

膜透過性化合物を利用した細胞内送達技術は、新しい薬物送達の開発につながる。しかし現存の膜透過性化合物には、透過後の挙動制御や細胞毒性などに問題があり、透過効率やin vivoでの適用に限界がある。
申請者らは、細胞を致死させることなく高分子を細胞内に送達し得る天然の細胞透過ペプチドaculeine (ACU)を見出した。ACUは、カチオン性の長鎖ポリアミンと中分子ペプチドを持ち、それらが生体膜をかく乱するなどして、近傍の高分子を細胞内に送達する。本研究では、有機合成化学と細胞生物学の手法を用いてACUならびに類縁体を人為的に合成し、「活性構造」を明らかにするとともに細胞内の挙動を解析することにより、生体膜や受容体との新奇な相互作用の機構を紐解くための化学的研究を進めている。これにより、細胞に外部から働きかけて化合物を細胞内に送達する低毒性の新しいドラッグデリバリー素子や、シナプス受容体のモジュレーターの創製につなげる。
本年度は、pACU-B (LCPA-W') の液相および固相合成に成功した。液相では13量体、固相では12量体LCPAである。また、ACU-D (LCPA-W'-TFPP) の固相合成にも取り組んでいる。現在はモノマーアナログの精製を行っているところである。ACU-B (LCPA-W'-AcuPep) については、クリックケミストリーによるLCPAとAcuPepのコンジュゲート化を進めている。このケースでは、clickable AcuPepを調製し、S-S結合の異性体を分離する。一方で、ACU-B-likeライブラリーを調製するため、複数のclickable LCPAの合成を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

pACU-B (LCPA-W') の液相および固相合成に成功した。液相では13量体、固相では12量体LCPAである。スペクトルデータは、天然物とよく一致している。
また、ACU-D (LCPA-W'-TFPP) の固相合成にも取り組んでいる。現在はモノマーアナログの精製を行っているところである。トラブルがなければ12量体LCPAを有するACU-Dの合成へ適用展開する。
ACU-B (LCPA-W'-AcuPep) については、2019年にAcuPepを合成し、さらにspermineとのコンジュゲートも合成した。S-Sを形成していない還元型のペプチドも作り、そのうち2本鎖タイプに神経活性が見いだされている。その他の化合物には活性が見いだされなかった。その知見もあることから、ACU-Bについては、全合成は後回しにして、クリックケミストリーによるLCPAとAcuPepのコンジュゲート化を進めている。このケースでは、clickable AcuPepを調製し、S-S結合の異性体を分離する。一方で、ACU-B-likeライブラリーを調製するため、複数のclickable LCPAの合成を行っている。

今後の研究の推進方策

pACU-B (LCPA-W') については、現在はmgスケールでの合成を行っており、それを用いて天然物とHPLCでの比較を行って構造確定とする。
また、ACU-D (LCPA-W'-TFPP)の弱い細胞毒性が再現できたら、LCPA鎖長の異なるアナログや、Dアミノ酸アナログも合成し、構造活性相関の解析を行う。更に、以下のACU-B実験のための予備検討もACU-Dを用いて行う。
ACU-B (LCPA-W'-AcuPep)-likeライブラリーに関しては、AcuPep主異性体を含むコンジュゲート群のほうに、活性が有意に見いだされると見込まれる。この実験ではAcuPepのS-S構造の位置は決まらないが、主異性体の方が天然型の構造を有しているという示唆を得ることができると期待される。この検討と並行して、標識体のNMR解析を進め、AcuPepのS-S結合の位置を確定する。

報告書

(1件)
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Oxa-Michael-based divergent synthesis of artificial glutamate analogs2022

    • 著者名/発表者名
      Tsukamoto Shuntaro、Hlokoane Oriel、Miyako Kei、Irie Raku、Sakai Ryuichi、Oikawa Masato
    • 雑誌名

      RSC Advances

      巻: 12 号: 34 ページ: 22175-22179

    • DOI

      10.1039/d2ra03744k

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Synthetic Studies on the Initially Proposed Structure of Protoaculeine B: Discovery of Neuronally Active Heterotricyclic Amino Acids2022

    • 著者名/発表者名
      Otsuka Kazunori、Miyahara Masayoshi、Takaki Sara、Wakabayashi Ryoya、Miyako Kei、Irie Raku、Takamizawa Satoshi、Sakai Ryuichi、Oikawa Masato
    • 雑誌名

      European Journal of Organic Chemistry

      巻: 2022 号: 36

    • DOI

      10.1002/ejoc.202200669

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 長鎖ポリアミンにより翻訳後修飾を受けたペプチド毒aculeine 類の合成研究2022

    • 著者名/発表者名
      入江 樂、宮原 正義、高木 紗羅、若林 稜也、谷 知恵、松永 智子、入江 由美、稲井 誠、大内 仁志、入江 一浩、酒井 隆一、菅 敏幸、及川 雅人
    • 学会等名
      第64回天然有機化合物討論会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Synthetic studies on aculeines, peptide toxins post-translationally modified by long-chain polyamines2022

    • 著者名/発表者名
      Raku Iriea, Sara Takaki, Ryoya Wakabayashi, Chisato Tani, Hitoshi Ouchi, Makoto Inai, Toshiyuki Kan, Masato Oikawa
    • 学会等名
      ICPAC Kota Kinabalu 2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi