研究課題/領域番号 |
23K23488
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補助金の研究課題番号 |
22H02221 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堂野 主税 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (60420395)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | ケージ化合物 / リピートRNA / RNA結合リガンド / 相分離 / リピート病 |
研究開始時の研究の概要 |
異常伸長した繰り返し配列をもつRNA(リピートRNA)は、液―液相分離を経て液滴やハイドロゲルなどの凝集体(RNA foci)を形成し、神経変性疾患の発症に深く関わる。本研究課題では、リピートRNAに作用する合成小分子をもとに化学修飾を加えて、不活性化かつ光刺激によって活性化するケージドリガンドを開発する。ケージドリガンドを用いて、リピートRNAの関わる相分離、RNA foci形成を光で制御する分子技術を構築し、その機能解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題「疾患関連リピートRNAの相分離を制御するケージドリガンドの創製」では、リピートRNAの構造変化を誘導するRNA結合リガンドを基盤として、その光感受性保護基付加体である(1)ケージドリガンドの創製、(2)ケージドリガンドによるリピートRNA相分離の制御、(3) 生細胞中におけるRNA fociのダイナミクス解析、を実施し、相分離、RNA fociの関わるリピートRNAの機能解明を目指す。 昨年度より引き続き、ケージドリガンドの創製のため、当該化合物およびその誘導体の化学合成とそれに続く物性、機能評価を実施した。UGGAAやCGG配列を有する核酸に親和性を有するリガンド、ナフチリジンカルバメートダイマー(NCD)のリンカー部位に光感受性保護基としてカルボキシメチルクマリンを導入した分子を合成した。得られたケージドリガンド(ケージドNCD)について水系中性緩衝液中に溶解させたサンプルを調製し、LED光源を用いて近紫外領域である365 nmの光を照射することで、光脱離反応を追跡した。照射時間に依存してケージドNCDの減少とともに遊離のNCDが生成することを確認した。続いてケージドNCDの標的核酸に対する親和性を二本鎖融解温度測定により評価した。NCDがCGG配列を含むDNAに結合することで融解温度を20 ℃程度上昇させる条件下において、ケージドNCDは融解温度上昇をほとんど示さず、提案したケ-ジ構造導入により標的核酸への結合能を失っていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナフチリジンカルバメートダイマー(NCD)に光感受性保護基を導入したケージドNCDを合成し、当該化合物を用いて、ケ-ジの光脱離反応および核酸との親和性評価を行った。ケージドNCDを水系緩衝液に溶解させ、HPLCによりその光反応性を評価した。365 nmの光照射によってクマリン部位が脱離し、NCDが生成することを確認した。さらに、ケージドリガンドとCGG配列を含むDNAとの結合評価を実施し、ケージドリガンドは親和性が大幅に低減すること、すなわちカルボキシメチルクマリンをリガンドのリンカー部位に付加した状態のNCDは、その結合能が阻害されることを明らかにした。ケージドNCDがケージド化合物としての機能することを示す結果であり、当初計画に従って進捗しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度より引き続き、ケージドNCDの光脱離反応を精査し、脱離反応収率の定量、遊離NCD以外の生成物の同定、反応条件の最適化を実施する。NCDが親和性を示す配列(CGG, UGGAA, GGGGCCと関連するコントロール配列)を中心にケージドNCDと各種核酸配列との結合親和性評価を、二本鎖融解温度測定や表面プラズモン共鳴法、ITC測定法などにより行い、配列選択性と光脱離前後で変化の大きい標的配列を確定する。続いて、標的リピート配列を含むRNAを用いて相分離による構造体を形成させ、ケージドリガンドの添加した際の影響を調べる。具体的には、リピートRNAを過剰発現させた培養細胞を用いて核内RNA foci形成を誘導したモデル細胞系と、合成リピートRNAを各種塩や添加物存在下アニーリング処理することにより構造体を形成させた非細胞系を構築し、これらの評価系を用いてケージドNCDが構造体形成に与える効果を明らかにする。
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