研究課題/領域番号 |
23K23495
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補助金の研究課題番号 |
22H02228 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邉 彰 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50231098)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
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キーワード | 土壌学 / 物質循環 / 炭素蓄積 / 腐植物質 / 土壌圏現象 / 土壌化学 / 土壌有機物 |
研究開始時の研究の概要 |
土壌有機物量を増大あるいは高く維持することは、持続的な農業と環境(地球温暖化対策)両面において重要であり、そのためには土壌有機物を安定化する機構の発現が不可欠である。本研究は、土壌有機物安定化の実体を、結合型土壌有機物の生成(形成)および分解(置換)過程の解析から明らかにすることを目的とする。そのために、各種有機物の粘土への吸着とその後の分解性、結合型土壌有機物と植物または微生物由来有機物との置換、団粒外部からの水溶性有機物の浸透による結合型土壌有機物形成の可能性等に関する実験を行い、それらを通して結合型土壌有機物プールが構築されていく過程の再現に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究は複数のモデル実験による多角度的な解析によりSOC安定化の実体を明らかにすることを目的とし、本年度は、SOMを多く含む土壌における微生物由来有機物からの結合型SOMの形成、有機物の化学構造と有機-無機複合体形成との関係、水溶性有機物の吸着による団粒形成とその安定性について調べた。土壌微生物の13C標識は、元々結合型SOMを多く含む土壌においても、微生物由来SOCの80%以上が結合型として蓄積することを示し、アルキルCあるいは同時に標識されたカルボキシCの結合への寄与を示唆した。実際、標識が確認された化合物の多くは、直鎖・分岐・不飽和脂肪酸類であった。一方、土壌中における存在と構造特性の異同に着目して選抜した低分子有機酸、含N化合物、多糖類、リグニン、H層水抽出有機物(WEOM)、フミン酸等の粘土鉱物との有機-無機複合体形成実験では、フミン酸、レシチン等構造中に疎水性部位と親水性部位を両方持つ有機物がモンモリロナイト、アロフェンいずれにも多く吸着すること、アルコール性水酸基よりもカルボキシ基の方が吸着に対する寄与が大きいこと、カルボキシ基を有していても分子量が小さいと吸着量が低くなることなどが示唆された。また、多くの有機物の吸着量がpH4>pH6であり、IRスペクトルの変化やpKaから水素結合の関与が示唆された。ただし、IRの変化に基づく吸着機構の解析には感度、精度を改善する必要がある。水溶性有機物の化学構造と団粒形成/安定性との関係は、6種の土壌有機資材から調製したWEOMを用いて調べた。それらの土壌への添加は、30日間の透水培養の後、>2 mmの団粒を増大させ、一部は団粒安定指標値(GMD、MWD)を増大させた。13C NMR、IR、HPSEC分析の結果、これらの機能は、O-アルキルCおよび高分子(>10 kDa)成分を多く含む試料で強いことが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SOMを多く含む土壌における微生物由来有機物からの結合型SOMの形成については、一部データの追加が必要ではあるが、主要実験結果の解析は終了している。水溶性有機物の吸着による団粒形成とその安定性に関しては、既に論文を作成し、学術雑誌に投稿済みであり、現在審査中である。各種有機物の粘土鉱物への吸着に関しては、直接的な吸着について重点的に実験を行い、知見を収集した。ただし、赤外顕微鏡による結合様式の推定には改良が必要であり、現在も検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
各種有機物の粘土鉱物への吸着に関しては、直接的な結合に続き、形成された有機物-粘土鉱物複合体上への多価金属を介した吸着について研究を進める一方、吸着による生物分解性の変化を培養試験において確認することで、土壌中で起こっている反応の再現へと展開していく予定である。また、結合様式を評価するための赤外顕微鏡観察について、必要な有機物濃度の確認とともに、ATR法の適用を検討することで、方法を確立する予定である。さらに、結合型SOMの形成における微生物由来有機物の優位性に関して、化学構造的に植物由来有機物よりも土壌粒子との親和性が高いのか、あるいは団粒内部や土壌粒子上に微生物が存在することで土壌粒子との結合に有利なだけなのかを見極めるために、菌体と菌体から放出される水溶性有機物を分けて土壌に添加し、既存の結合型SOMとの置換、集積過程を捕捉することを試みる。
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