研究課題/領域番号 |
23K23509
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補助金の研究課題番号 |
22H02242 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
神崎 浩 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 特任教授 (60183787)
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研究分担者 |
仁戸田 照彦 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80284090)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 麹菌固体培養 / 微生物変換 / 植物二次代謝産物 / ワインパミス / 有色米 / 麹菌 / 固体培養 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はアントシアニン豊富な日本ワイン搾り粕(ワインパミス)とタイ産有色米に複数の醸造用麹菌が生育し,素材の成分が変化する事を観察してきた。本研究においてはその現象について,①我々独自の三種の固体培養手法における培養環境要因,②植物素材中の成分要因,③麹菌種要因 に焦点を当て,それら要因が麹菌微生物変換にどう影響を与えるかを,化学的・生化学的に精査し,麹菌固体培養の有用性を科学的に実証する。
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研究実績の概要 |
伝統的発酵食品生産に利用される麹菌固体培養は,液体培養では発現しない酵素類の発現が起こるユニークな物質生産系であるが,穀物以外の植物素材の利用事例はあまりない。本研究においてはアントシアニンが豊富な日本ワイン搾り粕(ワインパミス) およびタイ有色米を植物素材として選定し、麹菌の微生物変換により新たな成分変化、それに伴う機能性変化が生じているかどうかを検討することにした。 ワインパミスの麹菌固体培養においては、試験に用いた4種の醸造産業用麹菌全てが、シャーレ培養、箱培養の2種の培養法において、良好な生育を示し、アルコール抽出物中のワインパミス成分のうち、アントシアニン類,カテキン類などのポリフェノール類の構造変化が起こっておりそれに伴う抗酸化活性の変化が認められ、その変化は麹菌の種類により異なっていた。さらに麹菌が生育したワインパミス麹を果皮と種子に分離しそれぞれの成分変化を分析したところ、両者においてそれぞれ特徴のある二次代謝産物の構造変化とそれに伴う抗酸化活性の変化が観察された。 また、タイ有色米の麹菌固体培養においては、有色米を含む3種のタイ米、日本白米の4種の植物素材を用い、4種の醸造産業用麹菌による微生物変換試験を行ったところ、ワインパミスと同様に、アルコール抽出物中の成分のうち、アントシアニン類,フラボノイド類などのポリフェノール類の構造変化が起こっており、それに伴う抗酸化活性の変化が認められ、その変化は麹菌の種類により異なっていた。 以上の結果から、産業用麹菌を用いる固体培養で、ワインパミス、タイ有色米の機能性や物性が変化した素材の創生が可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
麹菌の固体培養の特性を活かして、これまでに利用されてこなかった植物素材、ワインパミスおよびタイ有色米の微生物変換を行ったところ、それらに含まれる二次代謝産物の構造変換とそれに伴う抗酸化活性の変化が観察された。その変化は、用いる麹菌の種類、固体培養手法により異なることも明らかにしており、麹菌の固体培養が新たな機能性素材の創生に有用であることを示す科学的な分析結果が蓄積しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ワインパミス、有色米ともに、それらの成分変化の検討をさらに進め、機能性化合物の構造変換の詳細を明らかにし、これら植物素材の麹菌固体培養による微生物変換の有用性の科学的実証を進める。その際には、シャーレ培養、箱培養に加えて、機械培養による固体培養法を手法として加え、環境条件の異なる固体培養手法による微生物変換の相違点について検討を実施する。さらに、これらの微生物変換により生じる低分子化合物の構造変化に関係する、酵素レベル、遺伝子レベルでの変化の検討を試みる。
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